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逃走中の暴行と強盗致死傷

~最高裁昭和24年5月28日判決~

 強盗犯が人を殺してしまった場合、その殺人行為が強盗行為と時を同じくして行われたものか、それとも別の機会に行われたものかというのは重要な問題です。
 強盗行為と同じ機会に殺人を犯せば、強盗殺人罪刑法240条後段)という評価になり死刑か無期しか選択肢がなくなるからです。
 犯人側からすれば、当然、強盗行為と殺人行為は別の機会と認定して欲しいということになりますが...この点が争われた今回の事案では、最終的にどう判断されたのでしょうか。

 午前1時半頃、被告人Xは、他の4名と共謀のうえ、それぞれ凶器を準備してA方の入口横窓から屋内に侵入し、奥の部屋で寝ていたAの長男B(当時19歳)と次男C(当時16歳)を起こして、持っていた日本刀を突きつけ脅迫しました。
 他の者は手前の部屋で就寝中だったAを起こし、刺身包丁や出刃包丁を突きつけ静かにするよう脅迫して、反抗できない状態にして金員を強奪しようとしました。
 しかし、Aが救いを求めて戸外に脱出し、Aの妻Dらも騒ぎ立てたために、金員を奪うことに失敗。
 この状況をみて共犯者が逃げ出し、続いて逃走しようとしたXでしたが、BとCが自分を追ってきたことに気づきました。
 とっさに「逮捕されるかもしれない」という危険を感じたXは、B・Cの下腹部を日本刀で突き刺し、これによって2人を死亡させました。

 原判決は、Xに強盗殺人罪(刑法240条後段)を成立させ、死刑を言い渡しました。

 これに対し弁護側は、殺人の行われた場所はA方の家屋内ではなく家屋外だから、もはや強盗現場で起こったものとは言えず、強盗の機会ではないと主張。
 さらに、Xが被害者を突き刺した時に殺意はなかったとして、Xの行為は強盗未遂(同243条)と傷害致死(同205条)にあたるとして上告しました。

 最高裁の判断は上告棄却でした。
 まず、強盗殺人罪は強盗犯人が強盗する同一機会に他人を殺害することで成立する罪であると確認した上で、原判決によればB・C殺害の場所はA方の入口付近ということしかわからず、屋内か屋外かが明らかでないものの、この殺害行為は、強盗行為終了後、別の機会に行われたものではなく、本件強盗の機会に殺害したことは明白であると評価しました。
 すなわち、「強盗行為に及んだところと同じか」という場所的な観点ではなく、全体の流れから機会の同一性を考えたというわけです。
 したがって、原判決の判断に誤りはないと判断しました。

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