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女性による強姦罪

~最高裁昭和40年3月30日決定~

 刑法では、行為者に一定の身分を求める犯罪を「身分犯」といいます。
 たとえば、収賄罪(刑法197条)は、公務員という「身分」を持つ者が賄賂を受けた場合に成立する犯罪です。公務員でない者は賄賂を受けても収賄罪に問われることはありません。

 では、強姦罪同177条)はどうでしょう。
 男性にしかできない犯罪、すなわち「男性の身分を要する身分犯」なのでしょうか?
 今回の事案ではこの点が争われました。

 A女と被告人X女の夫は、以前から不倫関係にありました。
 X女はA女を問いただして夫の不貞の証拠を握るとともに、自分の目の前で男にA女を強姦させて辱め、日頃のうっぷんを晴らそうと考えつきます。

 被告人Yと一緒になってA女を飲食店に連行したX女は、Yと、たまたま来合わせた被告人Zに、A女を姦淫するよう勧め、YとZもこの提案をのみました。
 まずX女がA女をその場に押し倒し、Yと一緒になってA女の身体を押さえつけ、反抗を抑圧。ZがA女の姦淫を試みましたが目的を遂げられず、続いてYが無理やりA女を姦淫しました。

 1・2審は、X女に強姦罪の共同正犯(複数人で共同して犯罪を実行した場合、それぞれの実行内容にかかわらず全員「自分でその罪を犯した」として扱うもの)を成立させました。この判断は、「身分がなくとも身分犯の犯罪行為に有効な役割を果たした者を共犯とする」という刑法65条1項をもとにしています。
 これに対しX女側は、女性では絶対に強姦罪の軸である姦淫行為を実現できないため、理論上正犯になり得ないと主張して上告しました。

 最高裁は上告を棄却。
 強姦罪は行為主体が男性に限られるため身分犯ではあるものの、身分のない女性であっても、身分のある男性の行為を利用すれば強姦罪の保護法益(被害女性の性的自由)を侵害できてしまうため、X女が男性Y・Zと共謀して強姦罪に加功した本件では、X女は強姦罪の共同正犯といえるとしたのです。

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