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家屋への侵入と事後強盗

~東京高裁昭和24年12月10日判決~

 窃盗犯が逮捕を免れようと人を死傷させた場合、もともとは窃盗刑法235条)のつもりであったとしても、人を傷つけて金品を奪う以上、強盗と同様に扱われます(事後強盗罪同238条)。

 この時重要なのは、「『窃盗犯』が人を傷つけた」という点。
 相手に攻撃を加えた時点で「窃盗犯」でなければいけないということです。
 窃盗犯と認めるためには、暴行時、犯人が既に窃盗行為に着手している必要があります。
 今回の事案では、被告人がこの窃盗行為の着手という要件を満たし、窃盗犯とみなし得るかが問題となりました。

 窃盗を企んでいた被告人Xは、A方の窓に足をかけ、屋根にのぼり、そこから2階の雨戸の開いていた箇所を見つけ同居宅に侵入しました。
 就寝中だった家人Aはこの物音に目覚め、起き上がってXに飛びかかりました。
 Xは捕まってたまるかと、Aを力まかせに突き倒しましたが、その際、Aは後頭部を後方の障子に打ち付け、ショックで心臓麻痺を起こして死亡しまいます。

 原審は、Xに事後強盗による強盗致死罪(同240条)を成立させました。
 これに対しXの弁護人は、「Aが飛びかかってきた時点では、XはAの住居に侵入しただけであって、まだ窃盗行為に着手しておらず、『窃盗犯』という要件を満たしていない。それゆえ、ここで暴行を加えても事後強盗にあたらない。」と主張します。
 当然、強盗致死罪も成立しないとして控訴しました。

 東京高裁は原審を破棄。
 窃盗行為に着手したとして「窃盗犯」の成立を認めるには、他人の家への侵入後、金品物色の行為がなければならないとしました。
 したがって、本件Xのように、窃盗の目的で他人(A)の家に侵入しだだけでは、窃盗行為の着手があったとはいえないとし、A死亡の結果については傷害致死罪(同205条)が成立するにとどまると結論付けました。

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