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牽連犯と併合罪

~最高裁昭和58年9月27日決定~

 犯人の行為が色々な罪にあたる場合、その各罪の関係をどう捉えるかによって科される刑の重さが変わります。

 身代金目的で誘拐を企てていた被告人Xは、言葉巧みにA(当時7歳)を自動車後部座席に乗せて走行し、Aを自己の支配下に置いたうえ、Aの実母Bに電話をかけて身代金の支払いを要求しました[行為(1)]。

 身代金要求電話をかける際、Xは、駐車中の自動車内で、Aの両手・両足を麻縄などで縛り、口にタオルで猿ぐつわをするなどして、Aが脱出できないようにしました。
 この監禁は8日間にわたりました[行為(2)]。

 Xの行為を細分化して見れば、行為(1)のAを誘拐した部分は「身代金目的拐取罪刑法225条の2第1項)」、Bに身代金要求電話をした部分は「拐取者身代金要求罪(同条第2項)」にあたります。
 また、行為(2)は「監禁罪同220条)」です。

 問題なのは、この行為(1)と(2)の関係です。

 (2)は(1)の手段だと考えるならば、「牽連犯同54条1項後段)」になります。
 牽連犯というのは、数個の犯罪が手段・目的等の関係にある場合のことで、科刑時にはひとつの罪として扱われ、「成立する罪のうち最も重い罪の刑」で処断されます。

 (1)と(2)を別物と考えるならば、「併合罪同45条)」です。
 併合罪とは、まだ裁かれていない2個以上の罪(それぞれの罪に手段・目的のような関係性なし)のことで、基本的に、「成立する罪の中で最も重い罪の刑の1.5倍」が科刑基準となります。

 つまり、併合罪の方が随分と重い刑になるわけです。

 1・2審はともに、(1)を身代金目的拐取罪と拐取者身代金要求罪の牽連犯、(2)を監禁罪と判断したうえで、(1)と(2)の関係については別物と評価。併合罪を成立させました。

 これに対しX側は、(1)と(2)は牽連犯の関係にあるなどと主張して上告しました。

 最高裁は上告を棄却。
 XがAを監禁したのはAを誘拐した後であるため、(2)の監禁行為は(1)の拐取行為の手段とはいえないと考えました。
 したがって、(1)の身代金目的拐取罪と身代金要求罪とは牽連犯の関係に、これら(1)の罪と(2)の監禁罪とは併合罪の関係にあるとした1・2審は正しいと結論付けたのです。

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