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刑事未成年を利用した強盗

最高裁平成13年10月25日決定

 スナックのホステスだった被告人Xは、生活費に窮し、自分の勤めるスナックの経営者Aから金品を奪おうと計画しました。
 そこで、自宅にいた長男Y(当時12歳10か月、中学1年生)に「ママのところに行ってお金を取ってきて。映画でやっているように金だ、とか言って、モデルガンを見せてやりなさい」などと言い、覆面をしてエアーガンで脅迫する等の方法で、Aから金品を奪い取るよう指示命令しました。
 当初Yは嫌がっていましたが、Xが「大丈夫。おまえは、体も大きいから子供には見えないよ」などと説得し、犯行用に用意していた覆面用のビニール袋、エアーガン等をYに渡します。
 Yはこれを承諾し、エアーガンを携え1人でスナックに行き、ビニール袋で覆面して、Xの指示通りにAを脅迫しました。
 さらにYは、自分の判断でスナック出入口のシャッターを下ろしたり、「トイレに入れ。殺さないから入れ」などと脅迫し、Aをスナックのトイレに閉じ込めたりして反抗できないようにしました。
 Aから現金約40万1000円とショルダーバッグ1個を奪ってきたYは、帰宅後それらをXに渡し、Xはこの現金を生活費に使いました。

 1・2審判決はともにXを強盗罪刑法236条)の共同正犯同60条)としました。
 共同正犯というのは、2人以上が共同で犯罪を実行した場合に適用されるもので、これが認められた者は全員正犯(実行犯と同等)として扱われます。

 これに対し弁護側は、本件がXの単独犯行であると主張するとともに、仮に強盗行為に及んだのがYであったとしても、YはXに操られていただけで、Xに強盗の間接正犯(他人の行為を利用して自分の犯罪を実行すること)が成立すると訴えて上告しました。
 ちなみに、この間接正犯が認められるためには、実行行為に及んだ人間(本件ではY)に善悪を判断する能力がないか、もしくは、善悪の判断能力があっても、その意思を抑圧され反抗できないような状態にあることが必要とされます。

 最高裁は上告を棄却。
 本件当時のYは善悪を判断できる状態であり、Xの指示命令もYの意思を抑圧するほどのものではなかったとして、Yは自分の意思で強盗実行を決意し、臨機応変に対処して強盗を完遂したと断じました。

 また、Xも生活費欲しさから強盗を計画し、Yに犯行方法をそそのかしたり犯行道具を与えたりして強盗実行の指示命令にあたったほか、Yが奪ってきた金品をすべて取得したことから、XはYの犯行を単に教唆した(そそのかして犯行を決意させること。正犯として扱われる。同61条)だけではないと判断しました。

 以上により、Xに成立するのは強盗の共同正犯であるとの結論が下されたのです。

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