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被害者の治療拒絶

~最高裁平成16年2月17日判決~

 怪我をしても、病院で治療を受け「助かる」といわれたら、後はもう回復するものと思うのが普通です。
 しかし、患者が治療を拒んで死亡しまったら...その結果の責任はどこにあると考えるべきなのでしょうか。

 被告人XらはAに暴行を加えた際、底の割れたビール瓶でAの左後頸部等を突き刺すなどして刺傷を負わせました。
 Aは深頸静脈、外椎骨静脈沿叢等を損傷し多量に出血したため、直ちに病院で緊急手術を受け、一時は容態が安定します。
 医師も、良好に経過すれば加療3週間と見通していたところでした。
 しかし、その後Aが治療用の管を抜くなど暴れて安静につとめず、その日のうちに容態が急変し、5日後には頭部循環障害に基づく脳機能障害により死亡するに至りました。

 Xらは傷害致死罪刑法205条)で起訴され、1・2審とも同罪の成立を認めました。
 これに対し弁護側は、本件では経験上普通予想しえないAの行動が介入しており、Xらの傷害行為とAの死の間の因果関係は否定される、と主張して上告しました。

 最高裁は上告を棄却し、原判決の判断を支持しました。
 Xらの行為によりAが受けた傷害は、それ自体が死亡の結果をもたらし得る重大なものだという点に注目しました。
 このことから、仮にAの死亡結果が発生するまでの間に、「Aが医師の指示に従わず安静につとめなかったために治療の効果があがらなかった」という事情が介在していたとしても、Xらの暴行による傷害とAの死亡との間には因果関係があると判断したのです。

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