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車上荒らし

~東京高裁昭和45年9月8日判決~

 車上荒らしが、今まさに車のドアを開けようとしている!
 こんな状況は一体何罪になると思いますか?

 被告人Xは、屋外駐車場に駐車中の自動車内から現金等を盗もうと考え、ドライバー2本と洋傘の骨をあらかじめ用意していました。
 Xは、自動車の三角窓下に付いているゴムの中にドライバーを押し込み、三角窓のガラスを持ち上げました。
 そこから洋傘の骨を曲げたものを差し込み、三角窓の内側にある留め金ポッチに引っ掛けて、洋傘の骨を動かせばいつでも自動車のドアを開けられる状態にしました。

 こうした事実につき、1審はXに窃盗未遂罪(窃盗の実行に着手したが、目的を遂げられなかったということ。刑法243条)を成立させました。
 これに対し弁護側は、「窃盗罪同235条)の実行の着手を認めるのは、屋内に侵入し、財物を物色してから」という通常の屋内窃盗の考え方にならい、本件Xはまだ車内に侵入して財物を物色する段階に至っていなかったのだから、実行の着手がないと主張。
 窃盗予備にとどまると主張して控訴しました。
 ちなみに、窃盗予備という罪は刑法に存在しないので、これが認められても罰則はありません。

 東京高裁は控訴を棄却。
 本件は「屋外駐車場に駐車中の自動車から金品を盗もうとしたケース」なのだから、通常の屋内窃盗とは区別すると宣言しました。
 そのうえで、自動車ドアの解錠行為を車内への侵入行為と同視し、Xに窃盗の実行着手を認めたのです。
 これは、車内が車外と隔絶された狭い空間で、窃盗の対象になり得るような金品が置いてある場合が多く、車内への侵入行為だけでも(物色がなくとも)十分に車内金品の侵害の危険性が高まるためと考えられています。]

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