サイト内検索:

陸路の閉鎖

~最高裁昭和59年4月12日決定~

 陸路や水路、橋を壊したり塞いだりして往来を妨害する行為は、刑法124条で禁じられています(往来妨害罪)。

 被告人らは、前々から新東京国際空港(成田空港)の建設に反対しており、同空港開港後もこれを廃港に追いやるために闘争を続けていました。
 その闘争の一環として、成田市荒海にある久住NDBおよび16RILSアウターマーカー(どちらも電波によって航空機を誘導するもの)を狙って敷地内に火炎瓶を投げつけるなどしたほか、この施設に通じる県道成田・滑河線(幅員約5.9m)を封鎖しようとしました。

 まず被告人らは、上記県道の施設へ向かう車線上に、普通乗用自動車(車長約4.26m)1台を、反対車線側に約2mの余地を残して、やや斜め横向きに置きました。
 そのうえで車内にガソリンをまいて火炎ビン3本を投げ込み、炎が約3mの高さにまであがる状態にして、約10分間以上同車を炎上させました。

 往来妨害罪で起訴された被告人らは、「反対車線側はまだ通行可能で、現に自動車が通過している」と主張しました。
 しかし1審は、「その自動車の通過は車両炎上の前であり、その後の激しい炎上では、同所の交通は物理的には全く不可能ではないものの、著しく困難であった」として同罪を成立させました。
 被告人らは、車両の位置が炎上の前後で変わっていないことを理由に控訴しましたが、2審も、車両の炎上を「通常人が燃料への引火・爆発を危惧するようなものであり、この道路の往来に危険を生じさせたことは否定できない」として1審判決を支持しました。

 これに対し被告人らは、「往来妨害罪が禁じている『陸路を塞ぐ行為』とは、往来を困難にすることであって、往来に危険を生じさせることではない」と主張し、上告しました。

 最高裁は上告を棄却。
 「陸路を塞ぐ行為」とは、陸路の通路に障害物を設け、その通路に往来の不能や危険を生じさせることだと示して、「往来の危険を生じさせること」も禁止行為に含まれる点を確認しました。
 この点、被告人らの行為は、いくら県道の片側に遮断していない部分を約2m余り残していたとしても、道路の効用を阻害して往来の危険を生じさせたことに変わりはないため、往来妨害罪の成立は免れないという結論に至ったのです。

ページトップへ