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移転問題で紛糾する築地市場(2) 豊洲盛り土問題

 築地市場移転問題で紛糾していることについて、先日もここで取り上げましたが、ここにきてさらなる問題が浮上しました。築地市場の移転先となる豊洲市場の建物下の地盤で、都が当初計画にあった盛り土を行っていなかったことが判明しました。

 豊洲市場の敷地で、地下水や土壌から環境基準を大幅に超える有害物質が検出されており、汚染物質を遮断するために盛り土は対策の中核として注目されていました。
 しかし、都は設計段階で、主要施設の下には盛り土をせず、配管や電気配線のための地下空間を設けることを独断で決めてしまいました。さらに、都の説明が曖昧なことから、都民の不信感がつのっているという状況です。
 今回はこの「盛り土問題」について考えてみたいと思います。

 築地市場から豊洲市場の移転にあたり、都は建設前に環境影響評価(環境アセスメント)を実施しました。その環境影響評価の前提として、「盛り土」がされていることとなっていたとのことです。

 環境アセスメントとは、事業者(民間企業だけではなく、国や自治体も含まれます)が、事業に着工する前に、事業が環境に与える影響を調査し、評価し、環境への悪影響がある場合には、それを減らすために事業内容に修正や変更を加えることを言います。

 環境アセスメント制度は、アメリカ合衆国が世界に先駆けて導入しました。
 我が国では導入にあたり様々な反対などがあったため、1997年になってようやく環境影響評価法が制定されました。
 環境アセスメント制度の性質についても幾つかの考え方がありますが、日本の環境アセスメント制度については、事業者の開発行為を規制する法律ではなく、環境情報を事業者、行政、住民が共有するための法律であると考えられています。

 東京都では、「東京都環境影響評価条例」に基づいて環境アセスメント手続きを実施することとなっています。
 対象事業として、道路の新設又は改築、ダム・湖沼水位調整施設等、鉄道等と挙げられ、その中に「卸売市場の設置又は変更」も含まれており、豊洲市場はこれに該当します。

 条例の中で、対象の計画が変更になった場合は、定められた期間内に変更する旨を知事に届け出なければならないこととなっています(東京都環境影響評価条例第37条、第62条等)。例外として軽微な変更等については届け出をしなくともよいこととなっていますが、盛り土をするか否かについては軽微な変更には該当せず、届け出が必要であったと思われます。
 もっとも、この条例には罰則を定める条文が存在しませんので、届け出をしなかった場合でも特段罰則はありません。

 環境情報を住民と共有するために実施される環境アセスメントの前提が大きく異なるのでは、実施した意味が全くありません。再アセスメントを行うとしても、そのために余計にかかる期間や費用の問題も決して小さいとはいえず看過することはできないでしょう。
 なぜこのようなことが起こってしまったのか、都は原因を究明して、住民に明確な説明をする必要があるように思います。

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