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任意後見契約

 任意後見契約の締結が増加しているとのことで、任意後見契約の公正証書作成件数が1万件を超えているとの報道がありました。
 私人間が何らかの契約を締結しようとするとき、契約自由の原則から、特段の方式が求められるものではありません。しかし、任意後見契約に関する法律3条は、任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならないと定めています。
 つまり、任意後見契約の増加は、公正証書作成数の増加と同義となります。

 法定後見人による本人の金銭の着服などがしばしばマスコミ報道されて、法定後見人となった法曹関係者の信頼が揺らいでいる昨今において、今後も自分の信頼する人に委任しておこうとする任意後見契約は増加していくのではないでしょうか。

 任意後見契約は、本人が「自分の判断能力が不十分になったときには財産管理などをお願いしますよ」ということを任意後見受託者に委任する契約で、本人が普通の状態にあるときに契約をするものです。

 任意後見受託者が、実際に本人の財産管理などを行うには、二つの条件が必要です。
 一つは、「精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるとき」で、もう一つは「任意後見監督人が家庭裁判所によって選任されること」です。
 この二つ目の条件が非常に重要なものなのです。

 前に書きましたように、法定後見においても不祥事が多発しているのですが、本人が信頼をしている人を受託者とする任意後見においても、同様の事態が発生する危険性が多分にあるからなのです。
 つまり、「精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるとき」ではないのですが、その能力がやや劣ってきた人に、巧みに取り入り、本人の信頼を得て(もしくはほとんど騙すようなやり方で)、任意後見契約を締結させる不届き者の存在を否定することができないのです。
 このことは、特殊詐欺事案が増加していることからも裏付けられます。

 そこで、受託者が本人の大事な財産を現実に管理することができるための条件として、任意後見人を監督する任意後見監督人の選任が必須とされたわけです。ただ、それで問題のすべてが解決するわけではありません。

 任意後見契約が公正証書でなされなければならないことなど一般の人はあまり知りません。そこで、任意後見契約をまさに任意で締結し、もちろん家庭裁判所による任意後見監督人の選任など求めず、本人の財産をいいようにしてしまう輩も出てきています。
 こうなると、公的機関を通じての何らかのチェックもできません。

 やはり、親族の方によるこまめなチェックという自助、近隣住民による共助が必要だと思われて仕方ありません。

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