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銀行預金の相続

Q.

 先日、母が亡くなりました。母はA銀行に1000万円の預金を持っていました。相続人は私たち兄弟3人だけです。預金を引き出したいのですが、どのような書類を用意したらよいのでしょうか。

A.

 相続財産は相続人全員の共有に属し、遺産分割によって各相続人に対する最終的な帰属が決まるとされています。
 しかし、預金のような金銭債権について、判例は相続開始と同時に当然に各相続人に各相続分の割合で分割され、承継されるとしています。
 つまり、あなたの場合、預金債権は相続開始とともに3分の1ずつ分割されて帰属することになり、遺産分割の必要がないというのが判例の考え方です。この考え方によれば、相続人はそれぞれ自己の相続分を主張して、銀行に払い戻し請求ができることになります。

 しかし、銀行実務では判例とは異なり、相続人からの単独の払い戻し請求に応じていません。払い戻しには以下の手順を踏む必要があります。

 まず、相続人全員が署名し、実印を押印した遺産分割協議書を相続人の人数分作成し、それぞれの印鑑証明書を付けます。住民票も必要です。
 次に、相続人であることを証明するために、お母さんと母子であると記載した戸籍の謄本を取り寄せます。相続人があなた方以外にはいないことも証明しなければなりませんので、お母さんが生まれたときからの、あるいは少なくとも15歳のころから死亡までの戸籍・除斥の謄本も必要となります。
 さらに、預金承継届、払戻請求書、領収書などが必要となります。これらは銀行によって違いますから、銀行で所定の用紙をもらうとよいでしょう。

 遺産分割協議書、印鑑証明、住民票、戸籍謄本などはコピーではなく、原本を提出するよう求める銀行が多いので、事前に確認しておくとよいでしょう。

 なお、銀行が預金通帳と銀行印を持っている人に支払った場合、債権の準占有者への弁済(民法478条)として有効となり、実際の権利者が銀行に請求できなくなることがありますので、遺産分割協議が終わるまで、銀行に対して支払いの差止めをしてもらったほうがよいでしょう。死亡届によって除籍されたお母さんの戸籍の謄本を取り寄せ、銀行に事情を話せば差し止めてもらえます。

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