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民法について(2)

 前回に引き続き、民法においてどのような定めがあるか確認していきたいと思います。

未成年の結婚について

 未成年でも男性が18歳、女性が16歳になっていれば結婚することができる、というのは皆さん既にご存じと思われますが、せっかくですので詳しい手続きについてご説明させていただこうと思います。

 上記の婚姻年齢について定めているのは、民法731条です。結婚できる年齢(これを「婚姻適齢」といいます。)を法律が定めるのはおかしい、と思われるかもしれません。
 民法731条の趣旨は、婚姻関係は社会のベースである家族関係の基礎となるので、婚姻関係に必要な肉体的・精神的・経済的な能力を要求することで、早すぎる婚姻から生じる弊害を防止する、ということにあるそうです。

 したがって、結婚する2人のうち、1人でも婚姻適齢に達していない場合には、その婚姻届は受理されません(法740条)。
 婚姻届は戸籍謄本と一緒に提出しますので、間違って受理されてしまうことはほとんどありませんが、もし間違って婚姻適齢に達していないのに婚姻届が受理されてしまった場合には、当事者の2人か、親族、さらに検察官が婚姻の取消しを裁判所に請求することが出来ます(法744条1項)。

 婚姻適齢に達している未成年者が結婚する場合には、父母の同意を得る必要があります(法737条1項)。母親は結婚を認めているけれども、父親は反対している、という場面が昔のテレビドラマなどではありましたが、このような場合はどうなるのでしょうか?

 民法は父母の一方が同意しない場合でも、他の一方の同意があればよいとしていますので(法737条2項)、この場合は結婚できることになっています。
 なお、婚姻適齢の場合とは異なり、父母の同意がないのに誤って婚姻届が受理されてしまった場合でも、婚姻の取り消しを請求することは出来ません(法744条1項)。

 結婚により、未成年者は成年に達したものとして扱われることになります(法753条)。これを成年擬制といいます。これにより、結婚をした未成年者は、民法や商法といった私法上の行為については、成人と同じように単独で行うことが出来るようになります。
 成年擬制は、あくまでも私法上に限られますので、憲法刑法などの公法の分野では成年擬制はありません。喫煙や飲酒なども成年擬制はありませんので、注意が必要です。

 いったん結婚によって成年とみなされた場合は、その後離婚をして、その時にまだ未成年であったとしても、成年擬制の適用を受けたままとなります。
 したがって、未成年であったとしても、単独で法律行為ができることに変わりはありません。

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