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第4回 行政書士による法務会計実務の実際

 公共工事参入を目標とする建設業者の格付けである、経営事項審査における経営状況分析評点については、不要固定資産の売却・リースへの切り替え等固定資産政策の見直しを行なうことにより、評点のアップを図ることができる場合があるが、その際正味現在価値法(NPV法)等科学的意思決定会計手法を用い、投資の良否、買い替えかリースかの意思決定計算等を行ない合理的な判断を行なうようにする必要がある。ここまでの合理的判断を行なっている企業は欧米企業と違い、日本企業では大企業といえども少ないし、中小企業では皆無といってもいいすぎではない。

 行政書士は、上記のような合理的な判断に基づき、クライアント企業に関与することとなり、また改正行政書士法により、行政書士は、契約書を代理人として作成することが認められているわけであるから固定資産設備投資意思決定後の契約に関する業務まで行なうことができ、下記のような流れにて、クライアント企業のゴーイングコンサーンに大きく寄与することができる。
 法務会計的業務をこなす行政書士の日常を、法務会計実務の一例として見てみたい。

  1. 依頼者より建設会社設立の依頼を受ける。
  2. 商法上のアドバイスだけでなく、建設業法等の特殊行政法を踏まえた上で(建設業許可が取得できるような事業目的の選定をする等)設立に関するアドバイスを行ないかつ、財務計画立案アドバイス、助成金確保等管理会計的アドバイス等も併せて行なう。
  3. 会社設立手続、助成金申請手続、建設業許可申請手続を代行代理行なう。
  4. 将来の経審評点アップを考慮に入れ、記帳等会計に関する業務を行なう。そして会計記録に基づき、財務的管理会計的アドバイスを行なう。場合によっては原価計算システム、管理会計システムの設計を行なう。
    設備投資の必要性がある場合は、前述の意思決定会計手法に基づき、アドバイスを行ない、実際に設備購入契約に至る場合は契約上の法務的アドバイスを行なって、場合によっては契約書を代理人として作成する。
    その他、下請契約、材料購入契約等の契約についても管理会計的側面、法務的側面双方からアドバイスし、場合によっては、契約書を代理人として作成する。
  5. その他、常時発生する様々な法的問題(建設業関連法、独占禁止法等)に対しても、法務的側面からだけではなく、財務面・管理会計面・経営面からトータルな視野のもとで、クライアントに対し、アドバイスを行なう。
  6. 次年度予算編成期を向かえたなら、予算編成につき、的確なアドバイスを行ない、また決算期を迎えたなら、決算を代行する。決算終了後は、決算変更届手続の準備に入り、書面作成、提出手続代理を行なう。経営状況分析申請、経営事項審査申請手続等についても同様である。
  7. 公共工事入札に関して、公共工事入札契約適性化法上のアドバイスを行ない、トラブルなく工事が完了できるようコンプライアンスマニュアルを作成する。
  8. 公共工事、民間工事に関わらず法的トラブルが発生した場合は、解決案をクライアントとともに検討し、内容証明送付、公正証書作成手続代理等によりサポートする。
  9. ISO認証取得等が必要であると判断した場合は、アドバイスを行ないサポートを行なう。
  10. 他業種進出、あるいは部門切り離し(例:物流コスト削減に伴う物流子会社設立)等が必要であると判断した場合は、法務会計的アドバイスを行なうと同時に、子会社設立・営業譲渡・合併・合弁・株式移転・会社分割、必要許可取得手続等を行なう。

 以上のような流れで、クライアント企業のゴーイングコンサーンを全面的にサポートすることを、法務管理会計業務と呼ぶ。
 ゴーイング・コンサーンサポートのためのアドバイスは、多くの専門家を使うとしても、まず一人の法務会計専門家が、以上のような形で、法務・会計・経営について一つの頭で全般的な絵を、監督的立場で書き、トータルアドバイジングを行ないそれをもとに各専門家に指示を出し、問題を処理するという形にしないと、実はクライアントとしても、専門家を使っている意味がないものと考える。

 多発する企業不祥事等は、総合社会科学たる法務会計学思考の欠落から来るものではないかと考える。法務会計学的思考は、21世紀の企業家、ビジネスマンをはじめ、全ての人に必要とされている思考方法である。

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