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風営法とダンス(2)

 風営法とダンスに関する話題の2回目、今回はクラブ(DJが音楽をかけ、客がダンスをしたり、お酒を飲んだりする場所)に関する問題です。

 クラブはまさに「設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」または、「設備を設けて客にダンスをさせる営業」ですから、風営法2条1項3号に該当し、風営法の規制に服することになります。
  風営法は、風俗営業を行う者(風俗営業者)に対して、午前0時(地域によっては午前1時)から日出時までの営業を禁止し(同法13条)、ダンスをさせるためのスペースが一定の面積以上なければならないとしています(同法4条2項1号風営法施行規則8条)。

 このような規制を嫌って、一部のクラブは、風営法の許可を取らずに営業したり、あるいは飲食店(深夜酒類提供飲食店風営法32条以下)として届け出をし、オールナイトでの営業を行っています。
  近年、このような無許可での営業行為に対する摘発が相次いでおり、「GP BAR」(六本木・2013年7月20日)、「バニティ・レストラン・トウキョウ」(六本木・2013年5月27日)、「NOON」(大阪・2012年4月4日)などが摘発されています。

 こうした動きに対して、クラブ愛好家らが風営法の改正を求める署名を集め、2013年5月13日に155,879筆の署名を国会に提出しました。また、これに応じるような形で「ダンス文化推進議員連盟」が超党派の議員で発足しています(2013年5月20日)。

 前回のダンス教室の例をみてもわかるように、風営法の規制に時代に即していない面があるのは否めません。しかし一方で、時代に即していないからといって、現時点で有効な法令を無視してよい、という主張には素直にうなずけない方が多いのではないでしょうか。

 警察庁によると、2012年4〜10月の間に騒音、酔客のけんかなどクラブに対する苦情が全国で361件あり、うち231件が無許可営業の店舗だったそうです。
 このようなトラブルはクラブに限った話でなく、通常の飲食店でも起こり得るといえます。その意味で、「ダンス」に着目した規制に合理性があるのか、といわれると考えざるを得ないでしょう。ただ、「ダンス」に罪はないとしても、「クラブ」という場所、ないし営業形態に特有のイメージがあり、それが犯罪等の遠因となるのであれば、適切な規制が必要といえます。

 風営法の改正に賛成する側も反対する側も、イメージや理念ではなく、合理的な根拠に基づいた議論が望まれます。

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