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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第569号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2011年 3月 7日                        第569号
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 発行部数: 20,325部(まぐまぐ 14,828部、melma! 5,497部)
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■ 目 次
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  □ 短期集中!知らなきゃ損する税金の話 第1回
    「パートの主婦は、いくらまでなら税金がかからないか?」

  □ なっとく! 法律相談 第557回
    「『ラブホテルには行ったけれど、何もしていない』は通用する?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1005.php

  □ 法律クイズ 第243回 【問題】
    「国会議員は現行犯でも逮捕されない!?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0489.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第五十七回 「安楽死」

  □ 法律用語 「証拠開示」

  □ 法律クイズ 第243回 【解答】



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■ 短期集中!知らなきゃ損する税金の話 第1回
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 「パートの主婦は、いくらまでなら税金がかからないか?」

 □Q□
 
  主婦のAさんは、家計を助けるためにパートに出ています。年間いくら
 までなら、税金を支払わなくてもよいのでしょうか?


 □A□

  家計を助けるためのパートの場合、留意すべきなのは、(1)Aさん本人
 に税金がかからないようにすること、に加え、(2)Aさんの夫(仮にBさ
 んとします)の税金が増えないこと、の2点となります。以下、順に説明
 します。


 (1) Aさん本人に税金がかからない金額

  税金がかかるのは、年収から各種控除を差し引いた額が1000円以上となっ
 た場合です。
  バイトの収入は、通常給与所得です。給与所得の場合、まず、給与所得
 控除を年収から差し引きます。給与所得控除は、年収162万5000円以下で
 あれば、65万円です。
  上記に加え、基礎控除として38万円を差し引くことができますので、38万円
 +65万円=103万円以下であれば、Aさん本人に所得税はかかりません。


 (2) Bさんの税金が増えない金額

  Aさんの合計所得金額(給与所得額-給与所得控除)が38万円以下であ
 れば、Bさんは配偶者控除を受けることができるため、その分、税金が安
 くなります。逆にいうと、これまでパートをしていなかったAさんがパー
 トを始め、合計所得金額が38万円を超えると、Bさんの税金が増えること
 になります。
  つまり、年収が103万円(給与所得控除65万円+38万円)を超えると、B
 さんの税金が増えることになります。
  なお、Aさんの合計所得金額が38万円超76万円未満の場合(年収が103
 万円超141万円未満の場合)には、配偶者特別控除を受けることができま
 す。したがって、年収が141万円以上になると、Bさんの税金はさらに増え
 ることになります。


 以上をまとめると、おおむね以下のようになります。

  ●Aさんの年収   ●A君の所得税   ●Bさんの所得税

    103万円     かからない     変わらない
   以下の場合

    103万円超     かかる       増える
  141万円未満の場合         (配偶者特別控除は受けられる)

    141万円      かかる       増える
    以上の場合           (配偶者特別控除も受けられない)


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■ なっとく!法律相談 第557回
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 「『ラブホテルには行ったけれど、何もしていない』は通用する? 」

 □相談□

  妻が5年前から不倫をしており、半年前に探偵に調査を依頼しました。
 そして、妻と不倫相手がラブホテルに出入りする写真(2回分)と相手の
 名前を入手しました。そこで、妻に離婚を求めました。ところが、妻は、
 ラブホテルには入ったが何もしてない、不倫ではないと言い張り、離婚は
 するけど毎月家のローンや生活費を合わせ10万以上払うか、まとまったお
 金を払わないと印を付かないと言っています。
 不倫されたのに、この金額。生活費は払わないといけないものですか?
  とりあえず、現在は家と車のローンと光熱費は僕の口座から落ち、嫁と
 2人の子どもに数万の生活費は払ってます。

                         (30代:男性)


 □回答□

  まずは、奥さんとよく話し合い円満に協議離婚をされることをお勧めし
 ます。もし、奥さんとの話し合いによる協議離婚が進展しない場合は、家
 庭裁判所に離婚調停の申立てをして下さい。そして、調停が不調に終わっ
 た場合には、離婚を求めて裁判をすることになります。日本では調停前置
 主義を採用していますので、いきなり裁判離婚をすることはできません。
  裁判離婚をするには、民法770条1項に列挙されている離婚原因が必要と
 なります。相談者の場合は、奥さんの不倫を理由に離婚を求めることにな
 るので、770条1項1号の「不貞行為」があったことを離婚原因として主張
 することになります。
  ここで、不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配
 偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます(最判昭和48年11月15日)。
 そして、裁判おいて不貞行為があったと認定されるためには、不貞行為そ
 のものの証拠(例えば、当該行為の最中を撮影した写真)は必要ではなく、
 不貞行為があったことが相当程度の蓋然性を持って推認できるだけの証拠
 があればよいとされています。すなわち、一般人の感覚を持ってしてかな
 りの確率で不貞行為があったであろうということが立証できれば、不貞行
 為は認定されます。
  本件の場合、奥さんと不倫相手がラブホテルに出入りする写真(2回分)
 があるということなので、裁判では不貞行為があったと認定されると考え
 られます。
  したがって、本件では、離婚原因である「不貞行為があったとき」(民
 法770条1項1号)が存在すると言えます。

  もっとも、不貞行為が婚姻関係破綻後の場合は、当該不貞行為と離婚と
 の間の因果関係が認められないので、これを離婚原因として離婚すること
 はできません。裁判では、相手側がこの点を主張してくるものと考えられ
 ます。
  また、生活費の支払いについてですが、奥さんから財産分与の申立てが
 あれば、この生活費は財産分与として支払う必要があると考えられます。
 なぜなら、財産分与請求権は慰謝料請求権とは異なり、必ずしも相手方が
 不法である必要は無いからです。本件では、相談者に非がなくても奥さん
 から財産分与の申立てがあれば、その金額は裁判等で決まるとして、いく
 らかは支払う必要があると考えられます。


  [関連情報]
  ・財産分与に合意できていなくても離婚はできる?
   http://www.hou-nattoku.com/quiz/0105.php



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■ 法律クイズ 第243回 【問題】
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 「国会議員は現行犯でも逮捕されない!?」

  国会議員は、政治的策略から不当に身柄を拘束されないために憲法50条
 で不逮捕特権が認められているので、たとえ現行犯であっても逮捕されな
 い。

 1. ○
 2. ×


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第五十七回 「安楽死」
        ~横浜地裁平成7年3月28日判決~

  日常的に人の死に関わる医師であっても、自分の処置でひとつの命を終
 わらせる「安楽死」は大変重い問題です。
 今回の事案では、この安楽死のあり方が問われました。
  
  末期がん患者のAは余命数日で、いびきのような呼吸に陥り、疼痛刺激
 に対しても無反応な状態にありました。
  
  医師である被告人Xは、Aの治療を担当していましたが、Aの長男Bから治
 療行為の中止を強く求められ、点滴や尿道用のカテーテル等を外しました
 〈行為イ〉。
  
  さらに、Bから「楽にしてやってくれ」と要求され、死期を早めるおそ
 れがありましたが、いびきを抑えるために鎮静剤ホリゾン(副作用:呼吸
 抑制)などを、通常の2倍量Aに注射しました〈行為ロ〉。
  
  しかし、Aの呼吸が変わらず苦しそうだったため、XはBから問い詰めら
 れます。
  XはBの要求通りAを死なせる決意をし、殺意をもって、不整脈治療剤ワ
 ソラン(副作用:一過性心停止等)を通常の2倍量注射し、続いて、塩化
 カリウム製剤KCL(作用:心停止)を薄めず注射し、Aを死亡させました
 〈行為ハ〉。
  
  Xは、行為ハについて殺人罪(刑法199条)で起訴され、横浜地裁もこの
 成立を認めました。検討の手順・根拠は以下のとおりです。
  
  人間としての尊厳を保ち、自然に死ぬという「患者の自己決定権」や、
 意味ある治療しか行う義務はないという「医師の治療義務」から、意味の
 ない治療行為は中止できるのですが、それにはまず

 (1)患者が治療不可能な病気で回復の見込みもなく、死が避けられな
    い末期状態である

 (2)治療行為を中止する時点で、それを望む患者の意思表示が存在する
   (患者の意思が定かでない場合には、家族・医師が、事前の患者の意
    思表示(これもない場合は家族の意思表示)などから推定すること
    ができます。
    ただし、この判断をする家族・医師は、患者がどう考えているかを
    的確に推定できる人でなければなりません。)

 という2条件を満たす必要があるとされました。


  そして、条件(2)は、安楽死の種類によってはさらに厳格にする必要
 があると考えたのです。
  
  まず、延命治療を中止して死期を早める「消極的安楽死」。
  これは不要な治療行為を中止するだけなので、上記(1)(2)を素直に
 判断すればよいとしました。
  
  次に、基本的には苦痛除去・緩和の措置だけれど、死を早める可能性が
 ある「間接的安楽死」です。
  生命短縮の危険があっても苦痛の除去を選択するものなので、患者の自
 己決定という裏付けが求められます。そこで、(2)では少なくとも患者
 の推定的意思(家族の意思表示からの推定も含む)が必要とされました。
  
  さらに、苦痛から逃れさせるため意図的積極的に死を招く「積極的安楽
 死」。
 これには以下の4条件を求め、(2)をかなり厳しく検討します。
  
   i  耐え難い肉体的苦痛がある
   
   ii  死が避けられず、その死期が迫っている
   
   iii 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手
      段がない
      
   iv  生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある
  
  本件は、治療行為の中止につきAの明示意思がなかったため、患者をよ
 く知る家族の意思からAの意思を推定したものですが、この家族は重要な
 判断材料である「苦痛を感じない」というAの状態に対する認識が不正確
 で、Aの意思を正しく導けるかに疑問がありました。
  また、Xも、担当医となってから日が浅く、家族の意思表示をAの意思と
 推定してよいものか判断できる立場になかったのです。
  したがって、(2)が満たされないまま施された行為イは許されない処
 置でした。
  行為ロも、同様の理由で間接的安楽死とは認められませんでした。
  行為ハについても、意識を失ったAに安楽死の前提となる(i)肉体的苦
 痛、(iv)A本人の意思表示がなく、積極的安楽死の条件を欠いていまし
 た。
  
  以上からイ~ハの行為を全体的に評価した結果、起訴対象となった行為
 ハは、違法性も有責性も十分にあると判断したのです。



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■ 法律用語
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 法律用語 「証拠開示」


  わが国の有罪率は99%を超えると言われて久しいですが、このひとつの
 要因として、刑事事件に関する証拠を圧倒的に握っているのが検察側であ
 ることが挙げられます。
  
  これは、警察や検察が、国をバックにした資金力と組織力、そして強制
 捜査権限という強力な証拠収集権を行使して証拠を集めるためです。
  その上、現行の刑事訴訟法は、両当事者(検察と被告人)の攻撃防御を
 中心に審理を進め、裁判所は中立的立場からそれを裁定する「当事者主義」
 や、公訴提起の際に裁判所に予断を抱かせ得る書類を排除し、起訴状だけ
 を裁判所に提出する「起訴状一本主義(刑事訴訟法256条6項)」を採用し
 ているため、証拠を含む記録は裁判所に引き継がれることなく、公訴提起
 後も検察組織から出ないことになります。
  
  もしあなたが被告人の弁護人だとしたら、あきらめてこのまま裁判を闘
 いますか?
  検察がどんな証拠を握っているのか、気になりますし見たいですよね。
  こうした膨大な検察の手持ち証拠を、被告人・弁護人に閲覧、検討する
 機会を与えることを「証拠開示」といい、刑事訴訟法には2004年改正で取
 り入れられました。
  
  残念ながら手持ちの証拠すべてを出す全面開示ではありませんが、これ
 により「公判前整理手続(316条の2第1項)」においては一定の証拠につ
 いて開示されることになりました。
  公判前整理手続とは、迅速・継続的に審理を進めるべく、第1回公判に
 先駆けて行う準備手続のことで、争点とそれを証明するための証拠を整理
 する役割を担っています。
  ここで証拠が開示されれば、被告人側も今後の攻撃・防御の作戦が立て
 やすいのです。
  
  まず、証明予定の事実(316条の13)に関する証拠で、取調べを請求し
 たもの(検察官請求証拠)について、検察官は被告人や弁護人に対し速や
 かに開示するよう義務付けられています(316条の14)。
  証拠書類等を閲覧(弁護人には謄写も)したり、証人等の氏名・住居を
 聞いたり、供述録取書等の中から、公判でその者が供述する部分を閲覧
 (弁護人には謄写も)する機会が保障されています(同条1号、2号)。
  
  また、検察官が証拠請求する予定のない証拠、つまり開示されない限り
 握られていることすらわからない証拠も、以下の要件を満たせば開示され
 ます。
  
  (1)316条の15第1項が列挙する8類型(たとえば、被告人の供述録取書
     など)のいずれかに該当すること
     
  (2)検察官が請求した証拠の効果を判断するために、その証拠が重要
     であること
     
  (3)重要性・必要性と弊害を比較検討し、相当と認められること
  
  この証拠開示に加え、取調べの可視化など、今後も検察の持つ情報は開
 示される方向に向かいそうです。
  こうして検察側と弁護側の証拠に関する格差がなくなれば、有罪率もも
 う少し下がっていくかもしれませんね。



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■ 法律クイズ 第243回 【解答】
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 「国会議員は現行犯でも逮捕されない!? 」

 □解答□

 2. ×

  確かに、憲法50条には、「両議院の議員は、法律の定める場合を除いて
 は、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要
 求があれば、会期中これを釈放しなければならない」と規定されています。
  しかし、国会法33条において、(1)院外における現行犯の場合及び
 (2)その院の許諾があった場合には逮捕されるとされています。
  したがって、国会議員は現行犯であれば不逮捕特権を有するにもかかわ
 らず逮捕されます。



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