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子供の教育をめぐる法律(2)

 今回からは各ステージにおける法律問題について見ていきたいと思います。

保育園と幼稚園

 保育園(保育所)と幼稚園、名称が違うだけで、内容は同じだろうと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 保育園の根拠法令は児童福祉法で所轄省庁が厚生労働省なのに対し、幼稚園の根拠法令は学校教育法で所轄省庁は文部科学省です。

 保育園は、「日々の保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育すること」を目的とするところ(旧児童福祉法39条)、幼稚園は「幼児を保育し、適当な環境を与えてその心身の発達を助長すること」を目的としていますので(旧学校教育法77条)、保育園は保護者に代わって乳児又は幼児を保育する場所であり、幼稚園は未就学児の教育を行う場所と位置づけられています。
 保育園に入園可能な年齢は0歳児から小学校就学前、保育時間は原則1日8時間以上となっているのに対して、幼稚園に入園可能な年齢は満3歳から小学校就学前、保育時間は標準4時間以上、とされています。

 また、幼稚園には法律上、年齢以外の入園要件がないのに対し、保育園では法律で要件が定められています。児童福祉法が、「保育に欠ける」ことを入園の要件としています(旧児童福祉法24条1項)。
 これまでは、保護者が昼間居宅外で働いていることが常態である、妊娠中や産前産後である、病気やけが又は精神・身体に障害がある、同居の親族の介護をしている、災害復旧にあたっている、のいずれかに該当するといった厳しい条件が定められていました。
 最近改正が行われ別の法律によりあらためて定義が行われたものの、依然条件が厳しいことには変わりありません。

 このように保育園と幼稚園には様々な違いがあります。

幼稚園・保育園にかかわる法律の成立

 近年共働き世帯の増加、親世代との同居が少なくなるといった家族のあり方の変化等から、長時間保育と教育のニーズが高まっている状況にあります。
 しかし、高まるニーズに対して認可保育園の数は追いついていない状況で、認可保育園への入所を申請したものの、入所できずに順番待ちをしている子供の数が増加するという、いわゆる「待機児童問題」が深刻になってきています。

 この待機児童問題をはじめとした子育てを取り巻く問題を解決するために、「子ども・子育て関連3法」が平成24年8月に成立しました。
 3法とは、「子ども・子育て支援法」「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律」「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」を指します。

 次回は「子ども・子育て関連3法」の内容について取り上げます。

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