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借家契約の期間 -借地・借家に関する問題(1)-

Q.

 借家契約を結ぶにあたって、長く住むには期間を定めないほうが得ではないかと考えて、とくに期間は定めず契約しました。ところが、後日、知人から、「期間を定めないのはかえって不利になる。」と言われて、動揺しています。知人のいうことは正しいのでしょうか。

A.

 あなたが、期間を定めない場合、ずっと借りていられると考えておられるのであれば、それは間違いです。

 期間を定めない場合には、貸主はいつでも解約できるのです。その意味では、あなたの知人のおっしゃることは正しいといえます。

 ただ、それは、民法上の話であり、さらに借家法1条ノ2、借地借家法28条によって、解約が制限されています。解約には、「正当の事由」が必要なのです。

 例えば、家主の自宅が近所の火事で全焼し、家主が貸している家を住居とする必要がある場合などです。   解約するにあたっては、6ヵ月前に解約の意思表示をしなければなりません(借家法3条、借地借家法27条)。

 これに対して、期間を定めた場合、期間中は上記のような解約はできないという意味では、期間を定めない場合よりは有利といえます。そして、期間が満了したときに、貸主が更新を拒絶する場合は、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に借主にその意思を表示しておかなければならないのです(借家法2条、借地借家法26条)。

 そして、更新拒絶の意思表示の結果、契約を終了させるには、やはり「正当事由」が必要なのです(借家法1条ノ2、借地借家法28条)。

 以上のことからすると、あなたの知人のおっしゃる通り、期間を定めないのは、期間を定めた場合に比べてやや不利だといえます。

 とくに、借地借家法28条は、立退料を提供して明渡しを求める場合も、正当事由の1つとしているので、期間を定めたほうがよかったといえるでしょう。

注)借家法は廃止され、借地借家法が制定、施行されています(平成4年8月1日)。もっとも、借家法が廃止されるまでに生じた契約の効力については旧借家法によることになります。そのため、本文では借家法の条文を参考に掲載しております。

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