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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第676号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2013年08月19日                        第676号
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 発行部数: 18,654部(まぐまぐ 13,227部、melma! 5,427部)
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■ 目 次
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  □ 今週の話題 ~法律はこう斬る! 第31回
   「『誓い~奇跡のシンガー~』騒動から著作権を学ぶ」

  □ なっとく! 法律相談 第664回
   「ピンポンダッシュの犯人を現行犯逮捕できる?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1260.php

  □ 法律クイズ 第350回 【問題】
   「会社に就労拒否された場合の有給取得要件(出勤日数)の扱い」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0745.php

  □ 議事録から見る会社法 第5回
   「株主総会議事録の作成者 3 
     ~株主総会に出席した人であるべき?~」

  □ 法律クイズ 第350回 【解答】


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■ 今週の話題 ~法律はこう斬る!


  第31回「『誓い~奇跡のシンガー~』騒動から著作権を学ぶ」

  女優・土屋アンナさんの主演舞台「誓い~奇跡のシンガー~」が公演中
 止になった件で、制作サイドとこの舞台の「原案」となった書籍「日本一
 ヘタな歌手」の著作者である濱田朝美さんの見解が食い違っており、話題
 となっています。今回はこの話題を取り上げます。

  今回の件は、土屋アンナさんが舞台の稽古に参加せず、制作側が公演を
 中止したことが事の発端です。このこと自体は、舞台出演契約(に付随す
 る稽古参加義務)の不履行として処理されるべきですが、その後、濱田さ
 んが舞台化を許可していないと発言し、新たな展開を見せています。

  今回の騒動を著作権の観点からみたとき、まず問題となるのが、舞台の
 脚本が濱田さんの書籍の「脚色」といえるかどうかです。
  「脚色」とは、文学の脚本化のことで、演劇的要素のない著作物(小説
 など)にセリフやト書き、舞台装置などを記載して、演劇として上演でき
 る脚本にすることをいいます。
  この「脚色」は、著作者の権利とされており(著作権法27条)、無断で
 行うことはできません。濱田さんが主張しているのはこの点です。

  これに対して、制作側の主張はやや変遷していますが、濱田さんの著作
 はあくまで「原案」であり、「原作」ではないと主張しています。つまり、
 舞台の脚本は、濱田さんの著作の「脚色」ではなく、濱田さんの著作に着
 想を得たオリジナルの著作物であるというわけです。
  このような主張の対立は、小説の映像化やマンガのアニメ化で比較的多
 くみられる話ですが、裁判所は、脚色を含めた著作物の翻案について、
 「既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維
 持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感
 情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現
 上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為」
 であると判断しています(江差追分事件・平成13年6月28日判決)。

  つまり、「誓い」を見た観客が、「日本一ヘタな歌手」のストーリーや
 構成といった本質的な部分について「同じである」と感じ取ることができ
 るかどうかがポイントとなります。判断にあたって、「原作」「原案」と
 いった表記は関係ありません(「『直接』感得する」とはそういう意味で
 す)。これが「まったく別の話である」ということであれば、少なくとも
 法的には承諾は不要ということになります。

  次に、原著作者の承諾が必要な「脚色」であったとして、誰が承諾権を
 持っていたのかが問題となります。日本書籍出版協会の出版等契約のひな
 形では、著作物を演劇等に使用する場合、原著作者はその利用に関する処
 理を出版社に委任するとしていますが、許諾の権利を譲渡するとは書かれ
 ていません。このひな形に従う限り、演劇の制作側としては、出版社を通
 じて、濱田さんの承諾を得る必要があったといえそうです。

  最後に、脚色について承諾を得たとしても、脚本の制作者は自由に内容
 を改変できるわけではありません。原著作者には、その意に反して著作物
 および題号の変更・切除その他の改変をされない権利(同一性保持権)が
 あり(著作権法20条1項)、この権利に基づき、原著作者には侵害の停止
 または予防を請求することができます(著作権法112条)。

  以上みてきたように、あくまで著作権法を前提とすると、「誓い」の脚
 本が「日本一ヘタな歌手」の「脚色」といえるのであれば、「現在の脚本
 のままで舞台をやってほしくない」という濱田さんの主張が認められる可
 能性が高いといえます。

  この問題については、新証言が出たりして、しばらく落ち着きそうにあ
 りません。それぞれの登場人物の個性が強くて、そちらに目がいきがちで
 すが、著作権が根底にあるということは気に留めておいてくださいね。





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■ なっとく!法律相談 第664回
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 「ピンポンダッシュの犯人を現行犯逮捕できる?」

 □相談□

  アパートで真夜中のピンポンダッシュがあり困っております。私人逮捕
 の場合、ピンポンされた瞬間に扉を開け現行犯逮捕という形で大丈夫なの
 でしょうか?


                          (20代:男性)


 □回答□

  私人逮捕とは、刑事訴訟法213条に、現行犯人は、「何人でも」、逮捕状
 なくしてこれを逮捕する事ができると規定されている事から認められてい
 るものです。

  現行犯逮捕の要件としては

  (1)現行犯人(あるいは準現行犯人)であること、及び
  (2)30万円以下の罰金、拘留、科料にあたる罪の場合
   (刑法では、過失傷害罪・侮辱罪)

 には、犯人の住居、氏名が明らかでなく、又は犯人が逃亡するおそれがあ
 ること(刑事訴訟法217条)です。

  今回の場合、ピンポンダッシュが犯罪行為であるかどうかが問題となり
 ます。この点に関しては、京都府警がピンポンダッシュをした少年を迷惑
 防止条例違反(押し掛け行為)で書類送検したという事例があるようです。
  したがって、相談者のお住まいの都道府県の迷惑防止条例に同様の規定
 があれば、今回のピンポンダッシュも犯罪行為であるという事が可能です。
  また、上記(2)に関しては犯人の住居、氏名が明らかでなく、又は犯人が
 逃亡するおそれがあるといえますので、問題は無いでしょう。
  したがって、相談者が今回ピンポンダッシュをしている人物を現行犯逮
 捕する事は一応可能であるといえます。

  しかし、上記要件に該当しないにもかかわらず逮捕した場合は、逮捕罪
 (刑法220条前段)に問われる可能性があることや、ピンポンダッシュが迷
 惑防止条例違反にあたるという判断自体、事例判断的要素もあり、一般人
 である相談者の判断のみで犯罪行為と判断する事にリスクがあることから、
 現行犯逮捕には踏み切らない方がよいでしょう。お近くの交番に相談され
 るか、行為を現認されたときに注意をする等の対応でよいでしょう。



  [関連情報]
  ・加害者を自分で捕まえて弁償させる事はできる?
   http://www.hou-nattoku.com/consult/568.php



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■ 法律クイズ 第350回 【問題】
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 「会社に就労拒否された場合の有給取得要件(出勤日数)の扱い」

  Xさんは、勤め先であるY社に有給休暇の申請をしたところ、「出勤日数
 が足りていないので年次有給休暇は付与されません。」と言われました。
 しかし、出勤日数が足りないのは、Y社が正当な理由なく就労拒否をしたた
 めに就労することができなかった日が相当あったからでした。
  このような場合でも、Y社の言う通り、Xさんには年次有給休暇は付与さ
 れないのでしょうか?



 1. 付与される
 2. 付与されない


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼





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■ 議事録から見る会社法


  第5回「株主総会議事録の作成者 3 
       ~株主総会に出席した人であるべき?~」

  株主総会議事録の主な意義は「単なる事実の記載」です。
  法律も、出来上がった議事録に「作成者」の氏名記載を求めてはいるも
 のの、基本的に議長や出席取締役といった「出席者」の記名押印等を求め
 てはいません(会社法規則第72条第3項第6号)。
  これだけを見ると、議事録作成者である取締役が総会に出席したか否か
 は、あまり問題にならないようにも思えます。
  しかし、本当に議事録作成者は株主総会に出席しておく必要がないので
 しょうか?

  議事録と登記申請との関係を考えてみましょう。

  議事録単体で使用するときは、先ほど述べたように、記名押印によって
 議事録の内容を担保させることはありませんが、議事録を登記申請時の添
 付書類として使用する場合は別です。

  たとえば、取締役会非設置会社が、株主総会議事録を「代表取締役を選
 定したことを証する書面(商業登記規則61条4項1号)」として登記申請書
 に添付する場合。
  このときの議事録には、議長および出席した取締役の記名押印が要求さ
 れます。

  他にも、不動産登記申請の際に利益相反取引を承認する議事録として添
 付する場合に、議事録作成者の記名押印が必要になります(不動産登記令
 7条1項5号ハ、同19条1項)。

  したがって、上に示したような、議事に関与した者の記名押印によって
 議事録の真正を担保させるものについては、例外的に、議事録作成者を総
 会に出席した取締役に絞るべきと思われます。

  また、取締役会議事録に関する規定を参考までに見てみると、こちらで
 は議事録作成者である取締役の記載を求めていない代わりに、出席した取
 締役及び監査役の署名を要求しています(会社法369条3項)。

  こうした事情とのバランスを考えても、迷った時は、できるだけ出席し
 た取締役を作成者に据えるのが無難といえるでしょう。





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■ 法律クイズ 第350回 【解答】
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 「会社に就労拒否された場合の有給取得要件(出勤日数)の扱い」

 □解答□
 1.付与される

  労働者が使用者の正当な理由のない就労拒否のために就労することがで
 きなかった日がある場合の労基法39条1項、2項の出勤日の算定方法に関し
 最高裁は、「無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由な
 く就労を拒まれたために就労することができなかった日は・・・労働者の
 責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり法39条1項及び2項
 における出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全
 労働日に含まれるものというべきである。」と判断しています(最判平成
 25年6月6日)。

  ですので、本問題でも、就労拒否の日数を参入した場合に法39条1項、
 2項の要件を満たすので、Xさんにも年次有給休暇は付与されます。



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