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第1回 法務会計的思考の必要性

 法務会計のトータルシンキングのみがゴーイング・コンサーン(永続企業性)を支える唯一の手法であるものと考える。ゴーイング・コンサーンのためには、企業は利益を出し続ける必要性があるわけだが、その際に効果を発揮するのが、管理会計・マーケティング・マネジメントの各種手法である。

 しかしながら、予算決定時等において、上記のような会計学・経営学的思考に基づく、利潤あるいは利益の極大化のみを考え、法務思考に欠けた、計画立案を行ない、それにそった行動を行なうということになると思わぬところで、各種業法等の特殊行政法、経済法、社会法等の網にかかってしまい、当初の計画にない、損害賠償、課徴金、罰金支払、不祥事による企業イメージの低下、経営者や従業員の逮捕等となり、場合によっては、倒産に至り、ゴーイング・コンサーンが果たせなくなってしまい、当該企業に関わる多くの人々を不幸にする。

 よって、企業創業あるいは次年度計画の段階から、利潤利益の極大化と法的リスクに関するガードを交差させながら(この思考を法務会計的思考という)、計画立案意思決定すべきものであるはずなのだが、残念ながら日本企業においては、頻繁に伝わる企業不祥事の新聞報道等を見ればわかるように、法的リスクガードに関する考慮はほとんどなされていない場合が多いのではないかと思われる。

 加えて、契約担当者等の営業担当者は、管理会計的思考が欠落し、管理会計等の合理的思考、契約法務管理等を無視した人情であるとか、付き合いであるとかの非合理なものを優先するどんぶり勘定交渉を行なう例が、多々あるのではないかと考える。

 また、法務思考を優先するスタッフ(顧問士業・法務部員等)は、保守主義的思考に偏り「あれもダメ、これもダメ」症候群に陥る傾向が強く、そのアドバイスが時として経営者が頭に描いている果敢な経営戦略を阻害する要因ともなり得る。

 現状の不況や企業の不祥事等、日本社会を取り巻く様々な苦難の根源は、各社会のリーダーに、バランスの取れた「法務会計」思考が、著しく欠落していたというところに原因があるのではないだろうか?

 法務、会計、マネジメントいずれかに重点を置くのではなく、三者のほどよいバランスの中で、行動指針を見出す、これこそが、法務会計的思考であるが、この法務会計という哲学が人口に膾炙(かいしゃ)することによって、現在の危機的状況から脱することができるのではないかと思う。偏った思考こそが弊害のもととなる。
 バランスのとれた思考、社会科学全般的思考・・つまり法務会計的思考こそが、ゴーイング・コンサーンのための唯一の手法であることは明らかなわけであるが、21世紀の各社会のリーダー達は、この新しい手法である法務会計を駆使し、企業・個人のゴーイング・コンサーンをサポートすることこそが課せられた使命ではなかろうか。

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