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意匠権

 「意匠」といってもなかなかぴんとこないかもしれませんが、意匠とはデザインのことです。意匠法では、「物品の形状、模様若しくは色彩又はその結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています(意匠法2条1項)。

 特許権や実用新案権が技術的なアイデアを保護するのに対して、意匠権は商品デザインを保護するものであるといえます。

(1) 意匠法で保護される意匠

 意匠法で保護されるためには、「視覚を通じて美感を起こさせる意匠」であり、かつ「工業上利用できる意匠」である必要があります。

 したがって、例えば液体や紛状物、粒状物は肉眼で形態が判断しにくいので対象とならず、また、ビルなどの不動産や絵画や彫刻などの純粋美術の分野に属する著作物も工業上利用できないので対象となりません。

 このほか、新規性を有すること、創作性を有すること、先願されたものであること、不登録事由に該当しないことなどが保護されるために必要です。

(2) 意匠権に関するQ&A

Q.

 洋服のデザイナーをしています。来年の春夏物のデザインが完成したので、意匠登録をしたいのですが、意匠登録をすると公表されてしまうと聞きました。どうしたらよいのでしょう?

A.

 意匠は登録後に意匠公報に掲載されて第三者に公表されます。このため、相談者のように、登録よりも販売時期が遅れる場合には、意匠が模倣されてしまう危険があります。

 そこで、意匠法は秘密意匠制度を設け、意匠登録から3年以内に限り、登録意匠を秘密にすることを認めています(意匠法14条)。このような秘密制度は意匠法にのみ認められています。

 意匠出願を秘密にするためには、意匠出願と同時に出願人の名称又は氏名及び居所又は住所と、秘密にする期間を記載した書面を特許庁長官に提出する必要があります(意匠法14条2項)。

 この制度は、自動車メーカーがモデルチェンジした自動車のデザインを秘密にするために利用されることが多いようです。

○ 今回のまとめ

  • 意匠法で保護されるためには、「視覚を通じて美感を起こさせる意匠」であり、かつ「工業上利用できる意匠」である必要があります
  • 意匠法には、3年以内に限り登録意匠を秘密にする制度があります

 次回は商標権について取り上げます。見慣れた文字やマークだけでなく、意外なものまで商標法で保護されているのですが...

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