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性犯罪者の情報公開に関する公開質問

法務大臣 南野 知恵子 殿
警察庁長官 漆間 巌 殿

NPO法人リーガルセキュリティ倶楽部
理事長 生 千歳
大阪市北区曽根崎新地2-2-16 桜橋東洋ビル4階
Tel. 06-4796-8118 Fax. 06-4796-8813
e-mail. nt06_public@hou-nattoku.com

 

性犯罪者の情報公開に関する公開質問

 

 ホームページ「法、納得!どっとこむ」を運営するNPO法人「リーガルセキュリティ倶楽部」は、2月15日から約1ヶ月にわたり前回テーマとして取り上げた「裁判員制度」に引き続き性犯罪者の情報公開についてアメリカのメーガン法を初めとする諸外国の現状、性犯罪者の情報を公開した場合のメリット・デメリット等についての記事を掲載するとともに、読者の皆様の考えや意見を募ってきました。約1ヶ月間で3,200名余りの投票がありましたが、その9割が「性犯罪者の情報は一般市民に公開されるべきだ」と答え、300人以上の方が真剣な意見を寄せています(投票については重複投票をできるだけ排除する形で行っております)。
 この結果を踏まえ、性犯罪者の処遇を適正に行うとともに、被害者を一人でも少なくする為には性犯罪者の実態について一般市民に正しく理解していただくことが何よりも重要だと考えました。
 このため、私たちNPO法人リーガルセキュリティ倶楽部は、意見を寄せてくださった皆様を代表して、以下の点について公開質問をさせていただきます。別紙資料をお読みいただいた上で、それぞれの質問について理由を付して、文書にて具体的にご回答をいただければ幸いです。恐れ入りますが、ご回答期限は3月31日とさせて下さい。
 なお、この質問に対するご回答は、その有無も含めて当法人のホームページに掲載いたしますので、その点をご考慮の上、ご回答をお願いいたします。

 

1. 情報公開について賛成の立場を取る多くの方が「性犯罪はくりかえす可能性が高い」ということを前提にしています。ところが、本テーマの記事にもありますように、「平成14年度の犯罪白書によると、強姦罪によって検挙された者が同一罪種の前科を有していたのは全体の9.0%、強制わいせつで10.4%にすぎず、詐欺罪の21.8%、傷害罪の21.3%、窃盗罪の18.6%に比べて低いばかりか、全体の平均である14.5%よりも低い結果になってい」ると、発表されています。
 そこで質問です。強姦罪の前科をもつ者が強姦罪を犯した場合だけでなく、広く性犯罪(強姦、強盗強姦、強制わいせつ、わいせつ目的略取、誘拐)を犯した者が再びこれらのいずれかの性犯罪を犯した再犯率を教えてください。
 また、これらの性犯罪の多くは被害を公にしたくないという被害者の感情を考慮して親告罪となっていますが、性犯罪があったと警察に認知されたにもかかわらず告訴がないために上のデータにあらわれない件数はどの位ありますか。さらに、性犯罪は被害を公にしたくないという被害者の感情から、警察にも認知されない「暗数」が他の犯罪に比べて多いと思われますが、この暗数は警察に認知されている件数のどの位の割合になるのでしょうか。

2. 賛成者の多くが「性犯罪者の情報を警察だけがもつことは、犯罪が起きた後の捜査には役立つが、犯罪の予防には役立たない、予防するためには一般市民がこの情報をもつことが有効だ」と考えていますが、この点についてはどのようにお考えですか。アメリカのメーガン法の運用状況や日本社会の特性を踏まえつつお答え下さい。

3. 性犯罪はある意味で「病気」であるから、「通常の刑罰では矯正は不可能であり、直るまでは施設から出所させないという不定期刑や、改善治療を目的とした保安処分が妥当だ」という意見がありますが、この点は如何ですか。「性犯罪者の更正は施設内における教育や現在の医学の力では期待できないから薬物による去勢処分までしなくては性犯罪を防止することはできない」という意見もあります。

4. 性犯罪者の情報を一般国民に公開した場合、犯罪者は居住地域から事実上排除され、就職もできず、更正することも困難となる結果その受ける社会的制裁は刑罰以上のものがあります。「これは犯罪と刑罰の均衡を定めた近代刑法の基本原則である罪刑法定主義に反し、憲法の禁止する二重処罰の禁止にも違反するのではないか」という意見もあります。この点はどのようにお考えですか。

5. 賛成者の中には、「現在の日本の法律は被害者の人権より加害者の人権に配慮がなされすぎている」という不満が多く見うけられます。さらに、「日本の法律は犯罪者に対して甘すぎる、もっと厳罰化した方が犯罪の抑止力になる」という意見もあります。この点をどうお考えでしょうか。

 

 以上の質問へのお答えは、当然のことながら現行法の枠内の解釈としては無理な点がありますから、性犯罪をなくす為の政策論、立法論としてお答えいただきたいと思います。

 

■NPO法人リーガルセキュリティ倶楽部概要 http://www.hou-nattoku.com/
 2002年11月設立。「法律をもっと市民生活に身近な存在へ」という設立趣旨の下、法律情報提供サイト『法、納得!どっとこむ』(月:170万?250万PV)、メールマガジン『知らなきゃ損する面白法律講座』(発行部数:23,736部、2005年3月8日現在)、会員制相談サービス『リーガルセキュリティ倶楽部』を運営。Yahoo! Newsにもたびたび取り上げられるなど、同種サイトでは日本有数の認知度を有する。

今回の「性犯罪者の情報公開」は、本法人の設立趣旨を踏まえ、法律の建前と市民感覚のかい離が甚だしいテーマについて読者と一緒に掘り下げて考えてみようという企画「皆で考えよう、法の建前と現実」の第4回テーマとして実施されたものです。
※過去のテーマ
 第1回「NHKの受信料問題」、第2回「NTTの電話加入権の廃止」、第3回「裁判員制度」

 

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