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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第172号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□


2004. 3.16                           第172号
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 発行部数:15,713部(まぐまぐ13,716部、melma!1,997部) 毎週火曜日配信
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第160回
     「退職後、会社側から研修費の請求が!」

  □ 「知らない」ではすまされない? 知的財産権入門 第12回
     「商標に関するQ&A」

  □ 【法人向け】改正労働基準法のポイント 第6回
     「裁量労働制に関する改正点 その2」

  □ なっとく! ランキング

  □ 法、納得!どっとこむ 新着情報

  □ 編集後記 「神田の春」


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■ なっとく!法律相談
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  第160回 「退職後、会社側から研修費の請求が!」

 □相談□

  職場でのトラブル『研修費用の返還義務』を読ませていただい
 た者です。
  1ヶ月前に退職したところ、会社から『講師養成料請求書』が
 送られてきました。A4サイズの用紙に請求金額(約18万円)と振
 込先が記載されているだけで、何にいくらかかったかという明細
 は全く不明です。
  就職時の会社の説明によれば、元々このような養成料は請求し
 ていなかったということです。ところがある新入社員が研修を受
 けて仕事を始めた後にすぐ退職、その知識で同種の会社を設立す
 るという事件が起き、そのような事態を防ぐために、2年という
 期限を設けて養成料を請求することになったそうです。
  このような理由で請求されるのは納得がいきません。支払いを
 拒むことはできないのでしょうか。
                        (20代:女性)

 □回答□

  労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金の定めや
 損害賠償の予定をすることを禁じています。就職時に、採用され
 ることの条件として養成料等の請求に応じる念書などにサインさ
 せることが、同条にふれる虞があることは否めません。
  しかし、

  1. 会社の返還請求額が合理的な範囲の実費であること 
  2. 研修費用が使用者による立替金と認められること 
  3. 免除までの要就労期間が1年という短期であること

 という裁判例(サイトに挙げたもの)の要件に照らすなら、会社
 の請求額が真に「講師養成」にあてられた「実費」であるときは、
 支払いを拒めないという可能性があります。あなたが受けられた
 研修の内容、期間などにもよります。会社が説明したという、請
 求の主な目的が何であるかとは、関係がありません。

  いずれにせよ、請求の内訳につき会社に説明を求めることには、
 何の不都合もありません。「実費」であるなら支払い義務が生じ
 ると考えても、正当にかかった費用なら、請求の内訳は出せるは
 ずのものだからです。費用の内容につき明細を示せないのに十把
 一絡(じっぱひとから)げに18万といわれても、信用性に乏しい
 のは当然です。

  方法としては、明細の内訳を文書で明らかにするよう求めると
 ともに、真に「実費」であるならば支払うが、実費でない部分に
 ついては支払う意思がない旨の意思表示をされればよいと思いま
 す。
  会社に正当な理由があれば、何か言ってくるでしょう。それか
 ら態度を決めても遅くありません。一度支払ってしまったら、取
 り戻すのは本当に困難になってしまいます。

 [関連情報]
   ・研修費用の返還義務(なっとく法律相談)
     http://www.hou-nattoku.com/consult/138.php

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■ 「知らない」ではすまされない? 知的財産権入門 第12回
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 5.商標権
 (2) 商標に関するQ&A

 Q  露店で偽ブランド品を売っていました。非常に安かったの
   で、偽物でも欲しいのですが、買ったら罰せられるのでしょ
   うか?

 A  自分で使うために購入したものであれば、道義上の問題は
   ともかく、法律上は罰せられません。ただ、偽ブランド品を
   販売して得た収入は、当然のごとく正規の業者には入らない
   ため、正規の業者の収益を圧迫し、新製品が出なくなるおそ
   れがあること、また偽造組織の背後には暴力団等が介在する
   ことも多いことから、彼らの資金源となりうることなども念
   頭に置くべきでしょう。

 Q  以前購入した偽ブランド品をフリーマーケットに出品しま
   した。偽物であることを明記し、値段も安く設定しました。
   これって違法なのでしょうか?

 A  この場合、商標の不正使用行為にあたり、商標権又は専用
   使用権を侵害したことになると考えられます。商標権又は専
   用使用権を侵害した場合、5年以下の懲役又は500万円以下の
   罰金に処せられる可能性があるほか、民事上の損害賠償請求
   を受けるおそれもあります。

 Q  ブランド品を買ったときに付いてきたリボンを携帯のスト
   ラップにすることは違法なのでしょうか?

 A  個人で楽しむ分には問題ないと思われます。しかし、これ
   を販売する場合には、商標の不正使用、あるいはそのストラッ
   プがブランドによって製造されていると誤認される可能性も
   あり、商標法あるいは不正競争防止法違反となると考えられ
   ます。

  今 回 の ま と め
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ・ブランド品のコピーを購入することも販売することも問題があ
  ります

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  次 回 予 告
   次回は不正競争防止法を取り上げます
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■ 【法人向け】改正労働基準法のポイント 第6回
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  「裁量労働制に関する改正点 その2」

         公認会計士・社会保険労務士・中小企業診断士
                高橋労務会計事務所  高橋 聡

  前回は専門業務型裁量労働制に関する改正点について解説致し
 ました。今回はもう一つの裁量労働制である企画業務型裁量労働
 制に関する改正点について解説します。

 1. 対象事業場の要件の緩和(労働基準法38条の4第1項)

   従来から企画立案型の業務についても裁量労働制が認められ
  ていました。しかし導入ができる事業場は「事業運営上の重要
  な決定が行われる事業場」とされ、具体的には本社や本店のほ
  か地域本社・事業本部と呼べるような役員が常駐している重要
  な支社・支店でなければ導入が出来ませんでした。

   今回の改正では「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」
  という要件を削除し、対象業務が行われている事業場であれば
  どこでも導入が可能となりました。具体的には次のような業務
  を行っている支社・支店、事業本部等が該当します(労働基準
  法38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働
  者の適正な労働条件の確保を図るための指針:平成15年10月22
  日厚生労働省告示353号より)。

  (1) 当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品・サービ
    ス等についての事業計画の決定等を行っている事業本部で
    ある事業場
  (2) 当該事業場の属する企業等が事業活動の対象としている主
    要な地域における生産、販売等についての事業計画や営業
    計画の決定等を行っている地域本社や地域を統括する支社
    ・支店等である事業場
  (3) 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく
    独自に、当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品
    ・サービス等についての事業計画の決定等を行っている工
    場等である事業場
  (4) 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく
    独自に、当該事業場を含む複数の支社・支店等である事業
    場に係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等
    についての事業計画や営業計画の決定等を行っている支社
    ・支店等である事業場
  (5) 本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく
    独自に、当該事業場のみに係る事業活動の対象となる地域
    における生産、販売等についての事業計画や営業計画の決
    定等を行っている支社・支店等である事業場

   以上から明らかな通り、支社・支店等が対象事業場といえる
  ためには本社・本店からの独立性を有しており、独自の営業計
  画や事業計画を策定しえるだけの決定権限を与えられているこ
  とが必要です。

  2. 労使委員会の各種要件の緩和(労働基準法38条の4第1項2項)

   企画業務型裁量労働制を導入するためには労使委員会を設置
  しなければなりません。従来は労使委員会の設置について労働
  基準監督署長への届出が義務付けられ、委員については「労働
  者の過半数の信任」を受けていること、委員会の決議要件につ
  いては「委員全員の合意」が必要であること、といった厳しい
  要件が設けられていたため、制度の導入を行うのが困難である
  との指摘がなされていました。

   今回の改正により、労使委員会設置届の労働基準監督署長へ
  の提出は不要となりました。また、「労働者の過半数の信任」
  という委員の要件は廃止され、労使委員会の決議要件について
  は「全員の合意」から「委員の5分の4以上の多数決による合意」
  という形に要件が緩和されました。

   なお、設置時の決議要件の緩和に合わせて各種労使協定を労
  使委員会決議で代替する場合の決議要件も委員の5分の4以上の
  多数決で足りることとされました(労働基準法38条の4第5項)。

  3. 定期報告事項の改正(労働基準法38条の4第4項)

   従来、企画業務型裁量労働制を導入した事業場では、「労働
  者からの苦情の処理に関する措置の実施状況」、「労使委員会
  の開催状況」について定期的に労働基準監督署長へ報告するこ
  とが必要でした。

   これらは事務処理上煩雑であるとの批判があったため、今回
  の改正により上記の報告義務については廃止されました。しか
  し、制度導入による過重労働の有無を監視するため「労働者の
  労働時間の状況及び労働者の健康及び福祉を確保するための措
  置の実施状況」については従来と同様に労働基準監督所長に対
  して定期的に報告しなければなりません。

  以上のように企画業務型裁量労働制について、導入が進むよう
 に要件が全般的に緩和されました。今後は企画業務型裁量労働制
 の導入も進むと思われますが、使用者側としては裁量労働制の趣
 旨を踏まえて、裁量労働制の採用がかえって過重労働につながる
 ことのないように十分な配慮が必要です。

  次回は有期労働契約等その他の改正点について解説します。

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  高橋労務会計事務所  http://www.takahashi-lao.com/
  公認会計士・社会保険労務士・中小企業診断士 高橋 聡
  神奈川県川崎市高津区新作5-8-1-201
  TEL&FAX 044-853-3524


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  ホームページ「法、納得!どっとこむ」でアクセスの多かった
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 第1位 NHKの受信料、払わなければならない?
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■ 法、納得!どっとこむ 新着情報
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  前号から今号までの間にホームページ「法、納得!どっとこむ」
 に新しく掲載された記事をご紹介します。(04/03/10~04/03/16)

  3月11日 自治会から課される罰金(なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/consult/283.php

  3月11日 改正労働基準法のポイント (5) (士業の仕事と活躍)
      http://www.hou-nattoku.com/samurai/takahashi/05.php

  3月12日 商標権(知らないではすまされない?知的財産権入門)
      http://www.hou-nattoku.com/special/ipr/11.php

  3月15日 支払われなかった過去の養育費を請求したい
                     (なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/consult/284.php


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■ 編集後記
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  「神田の春」

  私たちのNPO法人リーガルセキュリティ倶楽部がコンテンツ
 事業のオーダー先としてお世話になっている会社に、リーガルフ
 ロンティア21という会社があります。
  サイト上でご存じの方も多いことと思いますが、パラリーガル
 (弁護士秘書、法律事務職員)の養成、教育、派遣などを中心に、
 リーガルサービスの充実拡大を目的として事業展開しておられる
 会社です。
  そのリフロさんがこのたび東京にも事務所を開設されることに
 なり、スタッフがお手伝いをかねて御祝いに伺いました。

  事務所開きの日は天気晴朗、神田には早春爛漫の気配さえ感じ
 られます。リフロさんのある駿河台下ももうすぐ春霞に包まれる
 ことでしょう。
  市民にとって法律が、もっともっと身近で利用しやすいものと
 なるよう、ますますのご発展をお祈りします。
                          (みゆき)

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  ※このメールマガジンはNPO法人への賛助会費と広告費に
   支えられています。
   賛助会員のご入会をお待ちしております(法律相談可)
    → http://www.hou-nattoku.com/asp/
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発行元:NPO法人 リーガルセキュリティ倶楽部
監 修:弁護士 密 克行、弁護士 浅井 健太、弁護士 片岡 全樹
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法律相談の応募: http://www.hou-nattoku.com/index2.html
登 録 ・ 解 除: http://www.hou-nattoku.com/magazine.php
バックナンバー: http://www.hou-nattoku.com/mailmag/index.htm
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その他お問合せ: staff@hou-nattoku.com(メール)
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