サイト内検索:

「知らなきゃ損する!面白法律講座」第179号

                      http://www.hou-nattoku.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□


2004. 5.11                           第179号
───────────────────────────────────
 発行部数:15,931部(まぐまぐ 13,920部、melma! 1,986部、Macky! 25部)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ お困りのことはありませんか?              [ PR ]■

 NPO法人リーガルセキュリティ倶楽部では、賛助会員となっていただく
 ことで、1ヵ月に3件までの専門家による相談や内容証明など書式類の自
 動作成サービスをご提供しています。

□ リーガルセキュリティ倶楽部  □

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 目 次
───────────────────────────────────

  □ なっとく! 法律相談 第167回
     「オーディションに合格したけど、これって詐欺?」

  □ 【法人向け】消費者契約法と企業の対応 第2回

  □ 【法人向け】法務会計について 第2回

  □ なっとく! ランキング

  □ 法、納得!どっとこむ 新着情報

  □ 編集後記 「青葉のころ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ なっとく!法律相談
───────────────────────────────────

  第167回 「オーディションに合格したけど、これって詐欺?」

 □相談□

  先日、友人と食事をした帰り、イケメンの男性に声をかけられ
 ました。「君、かわいいからちょっとオーディション受けてみな
 い?」というのです。
  ちょうど暇してたのでそのまま会場について行き、簡単な演技
 テストみたいなのを受けてその日は帰りました。参加者はほかに
 4名ほどいました。
  2、3日して、「見事合格です。所属契約を結びたいので来所し
 てください」の手紙。ハンコを用意し大喜びで飛んでいったとこ
 ろ、会社概要などの説明があったあと、

  「では仮契約を結んでいただくわけですが、入所金として15万
  円いただきます。その費用にはプロモーション用の写真代など
  が含まれています。」

  親に相談するといってその場は何とか帰ってきたのですが、こ
 れってキャッチセールスなんじゃないでしょうか。契約しても大
 丈夫でしょうか?
                        (10代:女性)

 □回答□

  最近、巧みな言葉で様々な商品を売りつけるセールスが増加し
 ています。とくに、「キャッチセールス」という方法については
 耳にされた方も多いことでしょう。
  キャッチセールスとは、街頭で客を勧誘し、その場で、もしく
 は営業所などに案内して商品やサービスを売るという商法です。
 「キャッチは危ない」とよく言われます。なぜでしょうか?
  ふつう私たちがモノを買おうするときには、自分から商品を売っ
 ている場所に出向きます。「吟味してモノを買おう」という気構
 えでいるわけです。
  しかし、キャッチセールスでは、いきなり勧誘を受ける、いわ
 ば不意打ちを受ける格好で契約を結ぶことになります。自分でモ
 ノを買おうという姿勢となっているのと、不意打ちを食うのと、
 経験した方はお分かりでしょうが判断力に及ぼす影響は大変大き
 いものです。
  キャッチを仕向けられても取り合わなければいいのですが、相
 手はその道のプロ。美味しい話を並べられ、うまくおだてられれ
 ば、買う気もなかった商品をついつい―ローンまで組まされて―
 買ってしまう、ということになるのです。

  残念ながら、あなたを勧誘した芸能プロダクションが詐欺まが
 いという可能性は大きいと思います。暴力団が絡んでいることも
 あります。契約するならご両親と相談の上、慎重になさってくだ
 さい。あなたが契約したとしても未成年取り消し(民法4条)を
 することができますが、いらぬリスクを負うことは避けたほうが
 賢明です。未成年でない方も、クーリング・オフ制度などを最大
 限利用するようにしましょう。

 [関連情報]
   ・キャッチセールス(悪徳商法)
     http://www.hou-nattoku.com/akusitu/vice.php

 +-------------------------------------------------------+
  ホームページ「法、納得!どっとこむ」新着情報は、一番
  最後で紹介しています。今週も盛りだくさん!!
   >> http://www.hou-nattoku.com/
 +-------------------------------------------------------+

==[ PR ]==============================================================

 □ リーガルフロンティア21からのお知らせ □
  ホームページにて法律事務所や企業法務部からの求人情報を掲載中!!
  法律を生かした仕事をしたい方、
  ぜひご応募ください。

===========================[ http://www.lifr21.com/hr/joblead.html ]==

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 【法人向け】消費者契約法と企業の対応 第2回
───────────────────────────────────

           寺村総合法務事務所 行政書士 寺村 淳

  前回では、消費者保護法制全般について、見てきました。
  今回と次回では、消費者保護法制がどのように移り変わってき
 たか、について、「法的観点の変化」という点を中心に見ていき
 たいと思います。


 2.消費者保護法制の移り変わり
     ~入り口規制からクーリングオフ、
                そして契約締結過程の規制へ~

 1)従来の規制-営業許可制、約款認可制=入り口規制

  従来は、消費者保護のための制度として、事業者の営業を許可
 制にしたり、取引の条件を約款という形にして監督官庁の許可を
 受けることを義務付けたりすることが多くなされてきました。
  これらは、言わば「入り口での規制」ということが言えます。
 つまり、悪徳業者と消費者とが交わらないように取引の場の入り
 口でシャットアウトしてしまう、あるいは、たとえ契約について
 消費者が全く不知であったとしても契約条件が適正に保たれるよ
 うに、適正でない契約を入り口でシャットアウトしてしまう、と
 いう考え方です。

  しかしながら、社会には次から次へと新たな商売が起こってき
 ますから、そのような新しいものへの規制を事前に行うことには
 無理があります。また、全てを許可制にしてしまえば経済は停滞
 し活力が失われてしまうことでしょう。
  さらに言えば、上記のような「入り口」の規制だけをして後は
 当事者同士で自由にやって良い、ということにしても、やはり消
 費者は弱い立場であったり情報不足であることから、不公正な契
 約となることを防ぐことはなかなか出来ません。

 2)入り口規制からクーリングオフ/権利主張型へ

  そこで、発想を少し変え、消費者が熟慮することが難しい状態
 で軽率に契約してしまった場合などに、契約締結後における無条
 件の解約権を認めることで、消費者を保護しようとする方法が取
 り入れられました。これが旧訪問販売法や割賦販売法などにおけ
 る「クーリングオフ」という解約権の制度です。

  このクーリングオフの制度は、業法規制による「入り口規制」
 から、契約締結後における消費者からの権利主張を私法的に認め
 るものであり、概念的には「入り口規制=行政介入型」から「権
 利主張型」に転換したと言うことが出来ると思います。
 (なお、この「行政介入型」から「権利主張型」というのは私の
 造語ですが、その意味するところはご理解いただけるものと思い
 ます。)

  しかしながら、クーリングオフ制度は、最初に述べたように、
 行使期間の短期制限(8日、14日又は20日)があると同時に、行
 使できる取引形態と商品やサービスが限定されており、消費者保
 護としては、依然として部分的なものであり限界が指摘されてい
 ました。

  クーリングオフ制度がこのように限定されている理由は、クー
 リングオフ自体が事業者の故意や過失を必要とせず、また解約の
 理由がどのようなものであるかを問わず、一方的に消費者からの
 解約権を認めるものであり、通常の取引通念では考えられない、
 言わば現代の「棄捐令(江戸時代の借金棒引きを認めるおふれ)」
 のような性質を持っているため、それを一般的に認めるにはあま
 りに事業者のリスクが大きすぎるためと考えられます。

  従って、クーリングオフ制度は、「行政介入型」から「権利主
 張型」への政策転換が認められるものの、消費者を完全に私法上
 の当事者として扱った上での「権利主張型」にはまだ完全には至っ
 ていないと言えるでしょう。

 3)クーリングオフから取引過程の公正維持へ

  そこで、契約一般について、契約締結の過程において、消費者
 と事業者の間の「情報格差」を実質的に解消させる義務を事業者
 に課し、契約締結における「実質的な公平」を実現することで消
 費者を保護しようとする「消費者契約法」が平成13年4月から施
 行されました。

  これは、消費者保護の重点が「入り口規制」から、「取引自体」
 の公正さ、「取引過程」の公正さを実現するに移行したことを意
 味していると考えられます。また、クーリングオフ制度で取り入
 れられた「権利主張型」の政策がさらに推し進められ、契約過程
 における事業者との実質的な不平等を補正した上で、消費者を
 「契約当事者として一人前」に扱うことを目指しているものだと
 言えるでしょう。


  この消費者契約法、とりわけ消費者取消権の創設による消費者
 保護の考え方の変化については、次回詳しくご説明したいと思い
 ます。
                           (続く)

 ------------------------------------------------------
  寺村 淳 プロフィール

   札幌市出身。昭和54年東京大学法学部に入学。在学中は
   市民無料相談を行う法律相談所に所属。卒業後、新日本
   製鉄株式会社入社。契約/知的財産担当マネジャー、総
   務担当マネジャーなどを経て退職。
   現在、寺村総合法務事務所を開設し、契約、会社法務、
   離婚相続、消費者法務などの分野で、行政書士・経営コ
   ンサルタントとして活躍中。

   Homepage  http://www1.ttcn.ne.jp/~solicitor/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 【法人向け】法務会計について 第2回
───────────────────────────────────

  「現代企業の置かれている状況」

             佐々木法務会計事務所 佐々木 賢一
             (行政書士・1級建設業経理事務士)

  現代は、IT革命という、未曾有の大変革の時代を迎えている。
 IT革命の進展により、企業における雇用の方式が変り、グッズの
 生産管理も変わり、いわゆるJIT生産方式、オンデマンド生産方
 式に移行せざるをえなくなったり、逆オークション方式に見られ
 るように、価格決定も、消費者主導となるなど、今までの供給者
 主導経済から、消費者主導経済へとおのずと変化する流れとなっ
 ている。
  また日本においては株主の権利意識の高揚、会計ビックバン等
 により、日本企業経営者は、以前よりも遥かに厳しい経営努力を
 強いられることとなる。
  なぜなら、株主の要求する高い配当率を達成し、またITの進展
 に基づく素早い会計情報の提供および透明性のある情報公開提供
 を行う必要があるからである。
  このような条件下のもと、日本企業経営者は、利益極限化(リ
 ニアプログラミング的思想)を最大使命とし、利益をあげるセグ
 メントを育て、不採算セグメントは素早く切捨てる(BCGポート
 フォリオ的思想)という行動を取らざるを得なくなってきている。

  もちろん、利益極限化を最大使命にするといっても、尊法精神
 を忘れてはならず、コンプライアンスにも、気を使わなければな
 らない。
  コンプライアンスを忘れた企業の先にあるのは、各種業法違反、
 特許問題、著作権問題、PL問題、環境問題、独占禁止法抵触といっ
 た厄介な世界である。つまり、今まで日本企業においてリーガル
 な部分よりも、優先されていたと思われる利益極限化的手法のみ
 で意思決定するのではなく、法務的な事象・効果をも考慮にいれ
 て、経営意思決定することが、今後の企業経営においては重要と
 なる。

  この厳しさの増す、現代企業経営において、もっとも必要とさ
 れるものが、「法務管理会計」という新しい経営手法ではないか
 と考える。

  「法務管理会計」・・この聞きなれないテクニカルタームは何
 であるのか?次回いよいよ、イメージしやすいように説明してみ
 たいと思う。
                           (続く)

 ------------------------------------------------------
  佐々木 賢一 プロフィール

   1966年生、1998年行政書士登録。
   業務分野は、各種許認可手続実務、契約書作成実務、法
   務会計実務、管理会計実務等。建設業団体、各地行政書
   士会等にて法務会計などに関する講演多数。
   著書に「現代ビジネス法辞典」(嵯峨野書院 2002年)、
   「わかりやすいマンション管理士・管理業務主任者テキ
   スト」(東京法令出版 2003年)他。(いずれも共著)
   現在、大阪府行政書士会知的財産研究特別委員会副委員
   長を務める。

   Homepage  http://homepage3.nifty.com/sasakihoumukaikei/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ なっとく!ランキング
───────────────────────────────────

  ホームページ「法、納得!どっとこむ」でアクセスの多かった
 記事をご紹介します。         (04/05/02~04/05/08)

 第1位 NHKの受信料、払わなければならない?
     http://www.hou-nattoku.com/consult/143.php

 第2位 「捨印」って、必要なの?
     http://www.hou-nattoku.com/consult/275.php

 第3位 駐車違反(悪質)について
     http://www.hou-nattoku.com/consult/295.php

 第4位 自動車事故、新車に代えてもらえないのはなぜ?
     http://www.hou-nattoku.com/consult/296.php

 第5位 辞めた会社からの呼び出し
     http://www.hou-nattoku.com/consult/291.php

==[ PR ]==============================================================

  法律事務所でキャリアアップしませんか?
  リーガルフロンティア21ではパラリーガル養成講座を実施しています
  詳しくは、	http://www.lifr21.com/	をご覧ください。
   ☆☆☆☆☆  ガイダンス情報も掲載中です!  ☆☆☆☆☆☆

==================================[ 株式会社リーガルフロンティア21 ]==

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 法、納得!どっとこむ 新着情報
───────────────────────────────────

  前号から今号までの間にホームページ「法、納得!どっとこむ」
 に新しく掲載された記事をご紹介します。(04/04/28~04/05/11)

  4月30日 「代理人弁護士」の役目って何?(なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/consult/297.php

  4月30日 法務会計について (1) (法人向け特集)
      http://www.hou-nattoku.com/special/legalaccounting/01.php

  4月30日 消費者契約法と企業の対応 (1) (法人向け特集)
      http://www.hou-nattoku.com/special/ccl/01.php

  5月10日 誠意を尽くしたのにわかってもらえない…
                     (なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/consult/298.php


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 編集後記
───────────────────────────────────

  「青葉のころ」

  花が過ぎると、青葉の季節がやってくる。
  桜の散り染めから芽を吹いた若葉が、やがて木々いっぱいに瑞
 々しい青を茂らせる。木々を通り抜ける風が、青く染まっている
 ようにさえ見える。
  生き物たちはその中で、夏を迎える準備をしているのだろう。
 そうして生命は輪廻する。

  もうすぐそこに、夏の気配が感じられる。
                          (さつき)

 +-------------------------------------------------------+
  ※このメールマガジンはNPO法人への賛助会費と広告費に
   支えられています。
   賛助会員のご入会をお待ちしております(法律相談可)
    → http://www.hou-nattoku.com/asp/
 +-------------------------------------------------------+


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行元:NPO法人 リーガルセキュリティ倶楽部
監 修:弁護士 密 克行、弁護士 浅井 健太、弁護士 片岡 全樹
───────────────────────────────────
法律相談の応募: http://www.hou-nattoku.com/index2.html
登 録 ・ 解 除: http://www.hou-nattoku.com/magazine.php
バックナンバー: http://www.hou-nattoku.com/mailmag/index.htm
ご意見・ご感想: http://www.hou-nattoku.com/opinion.html
その他お問合せ: staff@hou-nattoku.com(メール)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

        

 

ページトップへ