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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第196号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□


2004. 9.14                           第196号
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 発行部数:15,972部(まぐまぐ 14,006部、melma! 1,925部、Macky! 41部)
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 糸口を提供します。専門家に依頼した場合の費用についても相談できます。
       https://www.hou-nattoku.com/asp/index2.html

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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第184回
    「破産手続をすると管財人は勝手に郵便物を見られる?」
    http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/333.php

  □ 法、納得!どっとこむ 新着情報

  □ 【法人向け】CSRとコンプライアンス
       ~“当世”リーガルリスクマネジメント事情~ 第3回
    http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/special/csr/03.php

  □ なっとく! ランキング

  □ 編集後記 「携帯電話とマナーモード」



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■ なっとく!法律相談 第184回
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  「破産手続をすると管財人は勝手に郵便物を見られる?」

 □相談□

  現在破産手続を進めています。突然郵便物が、自宅に届かなく
 なってしまい、おかしいなと思っていたら、破産管財人の弁護士
 から連絡があり、荷物を預かっていると聞き、びっくりしました。
  本人の許可なく勝手に、郵便物を弁護士の所に勝手に届くよう
 にできるものなのですか?それって、プライバシーの侵害ではな
 いのですか?
                      (30代後半:男性)

 □回答□

  破産宣告がなされると、株式会社の取締役や弁護士・公認会計
 士等になれない、転居や長期の旅行には裁判所の許可が必要(破
 産法147条)といった不利益が生じますが、破産管財人による郵
 便物の開披(かいひ・封書を開いて見ること)もそういった不利
 益のひとつです。

  破産法190条は、裁判所は郵便事業者に郵便物等を破産管財人
 に配達するように嘱託しなければならず(同条1項)、破産管財
 人は受け取った郵便物を開披することができるとしています(同
 条2項)。
  破産管財人は、破産者が有していた財産を管理・換価し、また、
 破産者の免責についての調査を行いますから(366条の5)、こう
 いった職務の執行に必要な限度で破産者の郵便物を見ることがで
 きるのです。これは、信書の秘密(憲法21条2項)に対する例外
 といえます。

  もっとも、破産者は破産管財人に対して、届いた郵便物の閲覧
 を求め、また、破産手続に関係のない郵便物については交付を求
 めることができます(破産法190条3項)。あなたの場合も破産管
 財人にどのような郵便物が届いているか確認し、内容に応じて閲
 覧・交付を受けるとよいでしょう。


 [関連情報]
  ・カードで破産?自己破産って何?(お金の貸し借りをめぐるトラブル)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/money/3.php

  ・自己破産者は海外旅行に行ける? (なっとく法律相談)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/107.php

  ・携帯のメール・着歴を見られた!プライバシーは守られないの?
                         (なっとく法律相談)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/171.php



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■ 法、納得!どっとこむ 新着情報 ( 04/09/08 ~ 04/09/14 )
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  前号から今号までの間にホームページ「法、納得!どっとこむ」
 に新しく掲載された記事をご紹介します。

  9月13日 定価でのチケット譲渡もダフ屋行為になる?
                         (なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/332.php

  9月10日 CSRとコンプライアンス(2) (法人向け特集)
      http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/special/csr/02.php

  9月 9日 台風の影響で車に傷がついたけど、これって誰の責任?
                         (なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/331.php



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■ 【法人向け】CSRとコンプライアンス
         ~“当世”リーガルリスクマネジメント事情~ 第3回
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                     弁護士 三平 聡史

 3.CSR(企業の社会的責任)


  企業が、法的責任を管理することが重要であることは前回まで
 に述べてきているが、近年では、社会的責任(CSR)への意識
 も高まりをみせている。
  CSRとしては、社会への積極的貢献によるイメージ向上や、
 不祥事により社会に迷惑をかけない予防的なものがあるが、いず
 れも、場合によってはその企業の生死にかかわりうるものである。
 以下、これについて述べる。

  企業は、常に内外の経営環境を分析・予測し、持続可能な成長
 に向けて事業構造を再構築するとともに、時代の変化に対応した
 新たな企業行動を確立しなければならない。
  企業の社会的責任は、法的制裁とは別の企業経営の利害関係者
 (ステークホルダー)に対する責任である。利害関係者には、組
 織内部集団(株主、従業員)と組織外部集団(消費者、地域住民)
 とがあるが、社会的責任とは、外部集団への責任をさす。

  企業はそもそも私利を図る集団である。しかし、事業を営む上
 で多くの利害関係者に支えられているのである。そのことを強く
 認識しなければならない。したがって、利害関係者の立場や権利
 といったものを尊重する経営が志向されなければならない。

  現在、ISOの規格化をテーマとして世界的関心が高まりつつ
  あるCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会
  的責任)も、今後の企業経営における重要な経営戦略の1つで
  ある。

  戦後の日本経済は、「売上、利益、シェア」を中心とした企業
 の「経済価値」至上主義が原動力となり発展した。その結果の
 “成果配分”という形で企業の従業員や株主に還元し、また適正
 な税金を納めることが社会貢献にもつながる、とするのが企業の
 論理であり、その考えにはフリードマンとハイエクに代表される
 「株主利益の最大化」が企業の社会的責任の義務論として支持さ
 れてきた。

  しかし、少子高齢化と高学歴社会、資源・エネルギー制約型社
 会や、地球環境問題への関心の高まり、さらには世界的にも相次
 ぐ企業の不祥事などから、企業に対する従業員や、社会からの価
 値観が大きく変化し、企業行動に対する社会的責任への関心が高
 まっている。
  企業で働く従業員の人間性を重視し「人間価値」視点からの経
 営責任が求められ、一方では環境問題、メセナや企業文化、社会
 貢献活動など、企業の社会的責任意識の高まりから企業の「社会
 価値」を重視した経営行動が求められる時代とも言える。

  日本で企業の社会的責任論が本格的に登場したのは、戦後の復
 興が始まる1949年の山城章の『経営の社会的責任論』以降である。
 これはハーバード大学における卒業生の集いである「交友会」に
 て戦後社会における企業の社会的責任論を山城が日本に紹介した
 ものである。このことが契機となり、日本でも1956年には、経済
 同友会の「経営者の社会的責任の自覚と実践」が提起され、その
 後の1960年代の公害問題に引き継がれていく。

  1973年には第1次石油危機で企業の買い占め、売り惜しみが起
 こり、社会的責任論が再浮上した。
  ついで1996~97年にかけて銀行・証券業界等の反社会的勢力団
 体との癒着(当時の総会屋疑惑)が頻発し、企業倫理問題として
 の社会的責任論が本格的に問われ始め、これを契機に1996年に新
 企業行動憲章が改正され、政財界を挙げての企業倫理への本格的
 な取り組みが開始された。

  このように、日本において企業の社会責任が議論されるときは、
 企業の不祥事を発生させた問題に対する責任問題なども論じられ
 ることが多く、社会に対する責任という点からは、危害を与えな
 いことは、企業が果たすべき当然の責任である。
  したがって、日本におけるCSRは「積極的貢献」だけではな
 く、その前提として、企業の不祥事により社会に対して危害を与
 えない「予防」の概念も企業の社会的責任の範疇に含めて考えな
 ければならないのである。
                           (続く)



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■ なっとく!ランキング ( 04/09/05 ~ 04/09/11 )
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 第1位 商標に関するQ&A
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/special/ipr/12.php

 第2位 NHKの受信料、払わなければならない?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/143.php

 第3位 有給休暇の取得日数が査定に響くなんて許される?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/330.php

 第4位 台風の影響で車に傷がついたけど、これって誰の責任?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/331.php

 第5位 うっかりして運転免許証を紛失!
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/accident/menkyo.php


  先週は6日に、Yahoo! News で取り上げられた「偽物の偽物は
 粗悪品!ブランド品模造商法で被害拡大」というニュースで、法、
 納得!どっとこむの「商標に関するQ&A」を紹介していただき
 ました。その関係で当記事がランキングのトップに。

  また、ここのところの台風の影響で4位には「台風の影響で車
 に傷がついたけど、これって誰の責任?」がランクイン。サイト
 内検索でも「台風」で検索された方がもっとも多かったようです。


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■ 編集後記 「携帯電話とマナーモード」
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  最近、電車に乗るのが憂鬱である。列に並んでいれば割り込ま
 れ、座席は荷物に占拠される。鳴り響く着信音も「うっかりマナ
 ーモードに設定するのを忘れたのかな」と思えば我慢もできるが、
 そのまま電話に出て話しだされると、そうした好意的な解釈もか
 えっていらいらを増幅させる。極めつけは、優先座席でこれ見よ
 がしに携帯電話を使う人たち。優先座席に座っているのは、目に
 は見えない何らかの事情があるかもしれないと考えることもでき
 るが、携帯電話の使用は言い訳できないだろう(近畿地方では優
 先座席付近での携帯電話の使用は禁止されている)。

  これらの多くは「マナー」の問題である(列の割り込みは軽犯
 罪法違反(同法1条13号))。しかし、マナーはマナー、法律だ
 け守っていればよい、というのは、間違った遵法精神の現れだろ
 う。マナーや道徳が守られている限り、あえて法律を持ち出す必
 要がない、ということもあるからである。もし、法律しか守る気
 がない、というのであれば、この際、携帯電話の使用も自動車の
 運転と同じように、学科と実技の教習を前提とした免許制にした
 らどうだろう。若干不便になるかもしれないが、マナー違反によ
 るいざこざが減る分、安全な社会になるかもしれない。
                           (三毛)

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発行元:NPO法人 リーガルセキュリティ倶楽部
監 修:弁護士 密 克行、弁護士 浅井 健太、弁護士 中西 啓
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