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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第563号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2011年 1月24日                        第563号
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 発行部数: 20,444部(まぐまぐ 14,951部、melma! 5,493部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第551回
    「チャイルドシートがリコールされたけど・・・」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/993.php

  □ 法律クイズ 第237回 【問題】
    「受刑者も外泊ができる?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0477.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第五十一回 「共犯と身分」

  □ 法律用語 「条約」

  □ 法律クイズ 第237回 【解答】



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 ★「市民と弁護士つながるネット」★
 
  市民と弁護士つながるネットは、一般市民の方々に弁護士の現状を正し
 く知ってもらうことを目的としたコミュニティサイトです。
 市民・弁護士双方が議論に参加することによって、相互理解を深めていた
 だきたいと考えています。

 投稿されたテーマへのコメントや、これ以外にも弁護士に関する疑問・
 質問など、お気軽に投稿してみて下さい。

 ▼市民と弁護士つながるネット
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■ なっとく!法律相談 第551回
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 「チャイルドシートがリコールされたけど・・・ 」

 □相談□

  先日、某自転車大手メーカーでリヤチャイルドシートのリコールがあり、
 無償交換をしていただきました。色・形が指定出来ないとは言われていた
 のですが、当然このメーカー製に代えていただけると思っておりました。
 ところが、委託を受けた業者がやってきて、他社製のものに交換されてし
 まいました。某自転車大手メーカーだから他より高いお金払って使ってい
 たのに、これっておかしくないですか?法的にも許されますか?

                         (30代:女性)


 □回答□

  メーカーや販売店に苦情を申し立てて、差額分の支払を請求するか、販
 売店に対し、売買契約を解除して製品を返還するとともに代金全額の返還
 を請求しましょう。

  製品の欠陥が判明した場合に、法令の定め又は製造者・販売者の判断で、
 無償修理・交換・返金などの措置を行うことをリコールといいます。リコー
 ルには、法令に基づくものと、製造者・販売者による自主的なものとがあ
 ります。
  ご相談の場合におけるリヤチャイルドシートのリコールが、法令に基づ
 くリコールか(消費生活用製品安全法39条1項)、製造者・販売者による
 自主的なリコールかは定かでありません。
  ただ、消費生活用製品安全法は、リコールによる無償交換をする場合の
 指針などは定めていないので、いずれに基づくリコールであるかを問わず、
 リコールによる交換製品に納得がいかない場合などは、私法の一般原則で
 ある民法に基づいて解決することになるでしょう。

  ご相談の場合、他社製のものに「交換」されてしまったとのことですが、
 修理後に購入したメーカーのものに交換する措置もとられないのでしょう
 か。修理が可能であれば、修理後に購入したメーカーのものに交換される
 可能性も考えられます。
  購入したメーカーのものに交換されず、交換製品に納得がいかない場合
 は、メーカーや売主である販売店に苦情を申し立て、差額分の返還を要求
 しましょう。
  問題のない製品との交換を「交換契約」と考えれば(民法586条1項)、
 価値の不均衡を理由に交換契約の不完全履行があったとして、メーカーに
 対しても損害賠償請求を主張できるといえます(民法415条)。交換製品
 との間に価格差がある場合や、交換製品ではリヤチャイルドシートを購入
 した目的が達成されない場合、交換製品に不具合がある場合などは、メー
 カー側も対応してくれるでしょう。
  もし対応してくれない場合は、売主である販売店に対して、売買契約を
 解除してリヤチャイルドシートを返し、代金全額の返還を請求する方法も
 考えられます(民法543条)。使用により事故が起きた製品であったり、
 事故が起こり得る製品であったりする場合は、解除が可能でしょう。
  ただこの場合も、まずは会社に対して電話をするなどして話し合うこと
 から始めると良いでしょう。話し合いがこじれた場合は、全国にある消費
 生活センターに相談して、センターから会社に対して電話をしてもらうの
 も効果的でしょう。


  [関連情報]
  ・リコール中の費用って、メーカーが負担すべきじゃないの?
   http://www.hou-nattoku.com/consult/261.php



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■ 法律クイズ 第237回 【問題】
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 「受刑者も外泊ができる?」

  Aさんは、ある罪を犯して有罪判決を受け、刑務所に拘置されている受
 刑者です。Aさんに、どうしても外泊をしたい事情があるとき、日本の法
 律上、外泊を許可することができる場合がある。○か×か?

 1. ○
 2. ×


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第五十一回 「共犯と身分」
        ~最高裁昭和42年3月7日第三小法廷判決~

  先日、海外で麻薬の密輸入の嫌疑をかけられていた日本人男性が16年ぶ
 りに帰国したとの報道がありました。
  麻薬密輸入の罪は、国によっては死刑に処せられるほどの重大犯罪。
  日本でも、不正に輸入等する行為は麻薬及び向精神薬取締法12条1項に
 より禁止されており、これに違反して麻薬を輸入等すれば、1年以上の有
 期懲役に処せられます(同64条1項。以下罪(1))。
  特に、営利目的で罪(1)を犯したときには、3年以上の有期懲役などさ
 らに重い罰が科せられ、場合によっては無期懲役の可能性もあります(同
 条2項。以下罪(2))。
  
  被告人Xは、麻薬を日本で売却しようと考えたZから麻薬の密輸入を依頼
 され、Zの意図を知りつつもYとともにこれを実行しました。
  
  第1審は、XとYがZの目的を知った上で密輸入した以上、少なくとも第三
 者(ここではZ)に財産上の利益を得させる目的があるのだから「営利目
 的あり」と判断しました。
  そこで、X・Y両名に罪(2)の共犯(複数人で共同して罪を犯した者は、
 全員「罪の手伝い」ではなく「自分の罪としてそれを行った」とみなす考
 え。刑法60条)を成立させ、懲役10年に処したのです。
  
  Xは量刑不当等を理由に控訴しましたが、第2審で棄却されたため、さら
 に上告しました。
  
  最高裁は第2審の一部を破棄、自判しました。
  
  まず、X・Yは、Zの目的が営利であると知ってはいたものの、自らは営
 利目的ではなかったと認定しました。
  
  次に、罪(1)と罪(2)の関係について、「営利目的の有無」という犯
 人の状態の違いによって、各犯人に科すべき刑に軽重の区別をしている規
 定と考えました。
  そのうえで、この「営利目的をもった状態」は一種の「身分」であり、
 このような罪をめぐる共犯については、「身分により特に刑の軽重がある
 ときは、身分のない者には通常の刑を科する」という刑法65条2項を適用
 すべきと示しました。
  
  したがって、営利目的をもつZともたないX・Yとが、共同して麻薬を輸
 入した本件では、身分のあるZには罪(2)の刑を、身分のないX・Yには罪
 (1)の刑を科すのがふさわしいと判断したのです。
  
  以上の基準に従いXの所為を見た結果、Xは懲役8年に処されることとな
 りました。



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■ 法律用語
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 法律用語 「条約」


  2012年に期限切れを迎える京都議定書。
  各国で対立が生じていたこの延長問題は、来年の国連気候変動枠組み条
 約締約国会議に持ち越されることになりました。
  
  この議定書や、条約、協定、協約、宣言、憲章など、他国との取り決め
 はさまざまな名前で呼ばれますが、これらはどれも「条約」です。
  「条約」とは、文書による国家間の合意全般を指すことばなのです。
  
  条約は、事前または事後の国会承認を得て、内閣が締結し(憲法73条3
 項)、天皇が公布します(同7条1項)。
  二国間で締結しても複数国間で締結しても、また、既存の条約に参加し
 ても、法形式や成立手続はすべて同じです。
  
  条約は本来国際法に属するものですから、国内法としての効力が当然に
 認められるとは限りません。
  しかし、国家間の関係が緊密になれば、その分、国内法体系に及ぼす影
 響も大きくなります。また、同98条2項に「誠実に遵守する」と定められ
 ていることや、国内法規と同様に天皇が公布することもあって、わが国で
 は国内でも効力が認められています。
  
  では、条約と、国内法である憲法や法律とを比べたとき、どれが優先さ
 れるのでしょうか。
  憲法と条約の関係についてはいまだ見解が分かれていますが、一般的に
 は、政治性が極めて高い条約を除けば憲法が優位とされています。
  また、条約と法律に関しては、条約は国会の承認がある点法律に劣ると
 ころはないうえ、国際的な約束事であり、憲法も誠実な遵守を求めている
 という事情から、条約の方が優位と考えられています。
  つまり、憲法・条約・法律の順に優先されるということです。
  
  以上のように、条約は国内でも大きな効力を発揮します。
  自分の生活に直接関係なさそうだ、といわずに、関心をもって見てみて
 下さい。



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■ 法律クイズ 第237回 【解答】
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 「受刑者も外泊ができる? 」

 □解答□

 1. ○

  刑務所などの刑事収容施設の管理運営については、「刑事収容施設及び
 被収容者等の処遇に関する法律」が定めています。
  同法によれば、受刑者の改善更生や円滑な社会復帰を促進するために、
 外出や外泊を許可することができるとされています。
  具体的には、仮釈放を許すことができる期間を経過した懲役受刑者また
 は禁錮受刑者が、開放的施設において処遇を受けている場合などに、その
 円滑な社会復帰を図るため、刑事施設の外で、釈放後の住居や就業先の確
 保その他の一身上の重要な用務を行い、更生保護に関係のある者を訪問し、
 その他その釈放後の社会生活に有用な体験をする必要があると認めるとき
 は、刑事施設の職員の同行なしに、外出し、又は7日以内の期間を定めて
 外泊することを許すことができるとしています(106条1項)。
  そのため、Aさんも、要件を満たせば外泊できる場合があります。



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