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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第624号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2012年 5月28日                        第624号
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 発行部数: 19,850部(まぐまぐ 14,371部、melma! 5,479部)
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■ 目 次
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  □ 自転車をめぐる法律問題 第3回
    「自転車が走行できる場所 -1.走行編-」

  □ なっとく! 法律相談 第612回
    「自己破産時の弁護士費用の未払いがあるとローンが組めない!?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1133.php

  □ 法律クイズ 第298回 【問題】
    「転入手続きを忘れると・・・?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0617.php

  □ 民事判例解説 第3回
    「ホステスを口説くためにした金銭贈与の約束、支払うべき?」

  □ 法律クイズ 第298回 【解答】



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■ 自転車をめぐる法律問題
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 第3回「自転車が走行できる場所 -1.走行編-」

  普段自転車に乗るときは歩道を走っているという方、結構多いのではな
 いでしょうか。
  しかし、自転車は軽車両の一種なので、基本的には歩道を通ることはで
 きません。
  
  自転車で通行する際は、「自転車道」を利用するのが原則です。
  
  道路交通法によれば、自転車道とは、自転車通行用に縁石線や柵などで
 区切られた車道の一部(2条1項3の3)。
 意外なことに、歩道を区切った場合は、自転車道ではないようです。
  
  では、自転車道が設置されていない場所ではどこを通ればよいのでしょ
 うか?
 道路交通法は以下のような場所を指定しています。
  
 (1)普通自転車専用通行帯(20条2項)
    車両通行帯のある道路(一方向に2車線以上ある道路)では、このう
    ち道路標識等で指定されたレーンを通行します。
    特に指定のないときは、基本的に一番左のレーンを通行すれば問題
    ありません。 
  
 (2)普通自転車の通行が認められている歩道(63条の4第1項1号)
    道路標識等で許可されている場合は、歩道の通行も可能です。
    その歩道に「普通自転車通行指定部分(63条の4第2項)」の表示が
    ある場合は、そこを安全な速度・方法で進行します(周囲の歩行者
    に危険のない状態であれば、徐行の必要はありません)。
    
    一方、通行指定部分がない場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を
    徐行します。
  
  こうした歩道は歩行者優先なので、自転車利用者には、歩行者の通行を
 妨げないよう一時停止する、歩行者の安全のための通行禁止等に協力する、
 といった配慮が求められます。 
  
 (3)車道(17条1項)
    自転車を含む車両は、歩道・路側帯と車道が区別された道路では、
    車道を通行せねばなりません。
    ただし、道路外の施設又は場所に出入りしたり、路側帯などに停車・
    駐車したりする際(47条第3項、48条)に、必要な限度で歩道等を通
    行する程度なら構わないとされています。
  
  道路交通法上の規定は以上ですが、自転車道に関してはこのほかにも定
 めがあります。
  
  道路構造令では、縁石線や柵などで区画した道路の部分のうち、自転車
 専用のものを「自転車道(2条2項)」、自転車歩行者用のものを「自転車
 歩行者道(2条3号)」と呼んでいます。
 自転車道の指す意味としては、道路交通法とほぼ同じです。
  
  これ以外にも、道路法が、道路の一部を構造的に分離した「自転車専用
 道路(サイクリングロードなど。48条の13第1項)」、「自転車・歩行者
 専用道路(同条2項)」を「自転車道」の一種として規定しています。
  これらに対しては「東京都道253号保谷狭山自然公園自転車道線」、
 「大阪府道801号大阪吹田自転車道線」のような「県道○○号線」形式で
 の番号・名称が与えられています。
  
  「自転車道」をより広範な意味で使っている法律としては、「自転車道
 の整備等に関する法律」があります。
  ここでは自転車専用道路、自転車専用通行帯、自転車歩行者専用道路、
 普通自転車の通行が認められている歩道の総称として「自転車道」を用い
 ているのです。
  
  このように、法律によって自転車道の定義にばらつきがあることも、自
 転車の走行場所がわかりにくい一因といえるかもしれませんね。
  
 次回は、自転車が道路横断時に従うべきルールについて考えます。



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■ なっとく!法律相談 第612回
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 「自己破産時の弁護士費用の未払いがあるとローンが組めない!?」

 □相談□

  10年前に、自己破産をして、現在はやっと人並みの生活ができるように
 なりました。家族も持てました。しかし、まだローンの審査が通りません。
 家賃が高く、車も現金でしか購入できず、とても苦しいです。
 思い当たることといえば、破産したときの弁護士費用が未払いになってい
 る可能性があることくらいです。私が直接振込をしておらず、領収書も受
 け取った記憶もなく、今となっては、弁護士さんの名前も曖昧になってし
 まっています。
 弁護士費用が未払いであることが原因で、ローンが組めないということは
 ありますか?その時の弁護士さんを特定する方法はありますか?
 
                          (40代:男性)


 □回答□

 まずは、「破産者はローンを組めない?」をご覧ください。
 http://www.hou-nattoku.com/consult/821.php

  上記記事に書かれている通り、7年~10年の間はいわゆるブラックリス
 トに相談者の情報が載っている可能性があります。相談文では、10年前に
 破産をされたということですので、一部情報が残っている可能性がありま
 す。今回はそのことによってローンの審査が通らないのかもしれません。
 一度、本人開示制度を利用されてみてはいかがでしょうか。

  相談者がローン審査をパスできないことと、弁護士費用の未払いとは関
 係がないでしょう。なぜなら、弁護士費用が未払いであることは、信用情
 報機関の登録対象情報とはなっておらず、ブラックリストに載らないから
 です。
  もっとも、ブラックリストに載っていないからといって必ずローンの審
 査に通るわけではありません。なぜなら、融資希望者の事情を総合的に考
 慮して融資の有無を決める最終的な決定権は銀行側にあるからです。

  なお、弁護士の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した
 時から2年間行使しないときは時効により消滅します(民法172条1項)ので、
 相談者は既にその弁護士に対して報酬を支払う必要はありません(もっと
 も、その弁護士から費用を請求されたときに「時効消滅しているので支払
 わない」という意思表示をする必要はあります。)。

  利害関係人は、裁判所書記官に対し、破産法に基づき、裁判所に提出さ
 れ、または、裁判所が作成した文書その他の物件の閲覧を請求することが
 できます(破産法11条)。ですので、当時の担当弁護士が誰であったか調べ
 たいのであれば、相談者の破産事件に関する記録を裁判所で謄写(コピー)
 してもらえば、弁護士の作成した記録に弁護士名が書かれていますので、
 誰が弁護士であったかを知ることができるでしょう。


  [関連情報]
  ・破産者はローンを組めない?
   http://www.hou-nattoku.com/consult/821.php



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■ 法律クイズ 第298回 【問題】
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 「転入手続きを忘れると・・・?」

  Aさんは、X市からY市に引っ越しをした際に、X市で転出届を出したにも
 かかわらず、海外出張等が重なる等仕事が忙しくうっかりY市への転入手
 続を忘れたまま1カ月が過ぎました。

  Aさんは刑事上もしくは行政上なんらかの罰を受けることになるので
 しょうか?

 1. 罰金5万円以下を払わされる
 2. 過料5万円以下を払わされる
 3. 市役所の窓口で怒られる


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 民事判例解説
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  第3回「ホステスを口説くためにした金銭贈与の約束、支払うべき?」
     ~大審院昭和10年4月25日判決~

  仲良くなったホステスさんにいいところを見せたくて、お金をあげる約
 束をしてしまった。
  
  これは法的な「契約」なのか、そこまでの拘束力はない単なる「約束」
 なのか、どちらなのでしょう?
 前者なら、ホステスさんはお金を支払えと要求できます。
 後者なら、ホステスさんに支払を要求する権利までは認められません。
  
 では、さっそく過去の判例をみてみましょう。
  
  男性Y(被告)は、「カフェー丸玉」で女給X(原告)と親しくなりまし
 た。
  当時のカフェーは現在のバーのような酒場で、女給はそのホステスにあ
 たります。
  Yは、Xの気をひくために、Xが将来独立して自活できるよう、資金400円
 (当時の小学校教員初任給の約8か月分)を贈ると約束しました。
  このときYは、次月末日から4か月にわたり、月100円ずつ分割払いする
 という書面も作成しています。
  
  ところが、結局Yはお金を渡さなかったため、XはYと贈与契約(民法549
 条)を交わしたことを理由に、400円の支払いと遅延損害金を求めてYを提
 訴しました。
  これに対し、Yは、契約の存在を否定。
 また、仮に贈与契約が成立していたとしても、その契約の目的は将来Xと
 情交を結ぶことだったのだから公序良俗違反であり、無効だと主張しまし
 た。
 (民法では、愛人契約など違法な目的で交わされた契約は、公の秩序や善
  良な風俗に反するものとして無効になると考えられています。90条)
  
  しかし、1審・2審ともXの請求を認容したため、Yはこれを不服として上
 告しました。
  
 大審院は原審を破棄・差戻ししました。
  	
  まず、XとYの関係について、YはXと昵懇の間柄にあったというけれど、
 実際のところはカフェーで比較的短期間(親しくなってから約束を交わす
 まで約3か月)、遊興した関係に過ぎず、他に深い縁故があるわけではな
 いと認定しています。
  それならば、たとえYがこの環境で一時の興に乗じXの気をひこうと相当
 多額の金銭供与を承諾・約束しても、このことから直ちに、Xが裁判でお
 金を払うよう請求できる権利まで与える趣旨に出たと判断するべきではな
 いと考えました。
  すなわち、この事情下でYが自ら進んでお金を渡した場合は、それを債
 務の弁済(X・Y間に契約が存在し、Yはその契約上の義務を果たした)と
 考えて良いものの、そうでないならば単なる約束の域を出ないため、X側
 から約束の履行を強要できるような権利はないというのです。
  X・Y間の約束は、以上のような「特殊な債務関係」として扱うのが相当
 で、原審のように民法上の贈与契約が成立するというためには、Yに贈与
 の意思があったことを示すような、格段の事由が必要だとの結論に至りま
 した。



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■ 法律クイズ 第298回 【解答】
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 「転入手続きを忘れると・・・?」

 □解答□

 3. 市役所の窓口で怒られる

  転入をした者は、転入をした日から14日以内に市区町村長にその旨を届
 け出なければなりません(住民基本台帳法22条)。そして、正当な理由が無
 くその届出をしない者は5万円以下の過料に処せられます(同53条)。この
 正当な理由を判断するのは簡易裁判所です(同54条)。
  Aさんの場合、海外出張が重なったなどの理由があることから簡易裁判
 所では正当な理由が認められるでしょう。ですので、Aさんは過料を払う
 ことはないと考えられます。
  もっとも、市役所の窓口で「気を付けてください」などの注意はされる
 でしょう。



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