サイト内検索:

「知らなきゃ損する!面白法律講座」第664号

                      http://www.hou-nattoku.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2013年05月13日                        第664号
───────────────────────────────────
 発行部数: 18,862部(まぐまぐ 13,421部、melma! 5,441部)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 目 次
───────────────────────────────────

  □ 今週の話題 ~法律はこう斬る! 第19回
   「何を変えるかではなく、どう変えるかが問題?
     ~憲法96条改正問題(1)~」

  □ なっとく! 法律相談 第652回
   「任意の取り調べで指紋採取や写真撮影ってできるの?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1233.php

  □ 法律クイズ 第338回 【問題】
   「メールでお金の貸借りの約束をした場合でも返してもらえる?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0717.php

  □ 性同一性障害に関する法律問題 第15回
   「同性婚 1 ~同性カップルが不利になる場面とは?~」

  □ 法律クイズ 第338回 【解答】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今週の話題 ~法律はこう斬る!


  第19回「何を変えるかではなく、どう変えるかが問題?
       ~憲法96条改正問題(1)~」

  5月3日は憲法記念日でした。1947年5月3日に日本国憲法が施行されたの
 を記念して設けられた祝日ですが、今年は安倍首相が憲法改正に意欲的な
 発言をしていることから、例年以上に関心が集まりました。
  そこで、今回から数回にわたり、いま話題の憲法改正について、何が問
 題となっているのかについて、説明していきたいと思います。

  「憲法改正」というと、よく話題に上るのが9条。「平和主義を定めた9条
 だけは改正してはならない」「9条を改正し、自衛隊を国防軍としてきちん
 と定義づけるべきだ」といった議論がなされているのは、読者の皆さんも
 ご承知の通りでしょう。
  今回の改正論議でも、9条の問題が提起されていますが、それよりも大き
 な話題となっているのが、96条の改正問題です。

  憲法96条は、憲法の改正に関する手続を定めた条項で、「この憲法の改
 正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、
 国民に提案してその承認を経なければならない。」と定めています。
  同条の改正に積極的な人たち(以下、「要件緩和派」とします)は、
 「衆議院、参議院のそれぞれで、総議員の3分の2以上の賛成がなければ憲
 法改正の発議ができないというのは、ハードルが高すぎる。総議員の過半
 数に引き下げても、最後には国民投票が控えているのだからよいのではな
 いか」と主張しています。こうした主張の背景には、現在の憲法ができて
 から、一度も改正がなされていないことがあります。

  要件緩和派が主張するように、1947年に施行されて以来、日本国憲法は
 一度も改正されていません。これに対して、諸外国の1945年以降の憲法改
 正回数は以下のようになっています。

  ┌───────┬───┐
  │ 米国    │  6回│
  ├───────┼───┤
  │ フランス  │ 27回│
  ├───────┼───┤
  │ ドイツ   │ 58回│
  ├───────┼───┤
  │ イタリア  │ 15回│
  ├───────┼───┤
  │ カナダ   │ 18回│
  ├───────┼───┤
  │ 中国    │  9回│
  ├───────┼───┤
  │ 韓国    │  9回│
  └───────┴───┘

  諸外国と比べて、単に回数が少ないというだけでなく、「一度もない」
 という部分が特徴的です。問題は、憲法改正がなされない理由が、96条の
 要件が厳しいからなのか否かという部分ですが、この点については、次回
 に諸外国の例と比較しながら説明したいと思います。

  5月9日の衆議院憲法審査会では、96条について各党が立場を表明する予
 定です。現在のところ、自民、維新の会、みんなの3党が要件緩和を主張す
 るとみられていますが、各党の議論が注目されます。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ なっとく!法律相談 第652回
───────────────────────────────────

 「任意の取り調べで指紋採取や写真撮影ってできるの?」

 □相談□

  任意の取り調べ(身柄の拘束を受けていない状態)で、被疑者の同意を
 得ていないで、指紋、顔写真など取るのは刑訴法違反だと思いますが、調
 書を取られ、それに署名をしたら、同意を得ていなくても、指紋等は合法
 的に取れるのでしょうか?(因みに、微罪で不送検でした)。



                          (50代:男性)


 □回答□

  捜査機関は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発
 する身体検査令状により身体の検査をする事が出来ます(刑事訴訟法218条
 1項参照)。ただし、身体の拘束(逮捕等)を受けている被疑者の指紋若し
 くは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、
 被疑者を裸にしない限り、身体検査令状によることを要しないとされてい
 ます(同3項)。

  ですので、相談者の言うとおり任意同行時に本人の同意無く指紋を採取
 し、写真を撮影する事は違法捜査であると言えます。
  そして、任意同行中に作成された調書に署名する事もあくまで任意でな
 されるべきでしょう。ですので、この場合の調書に署名や指紋押捺をする
 必要はありません。仮に、署名・指紋押捺をしてしまったとしても、上記
 刑事訴訟法の規定から、捜査機関は当該指紋を不用意に捜査活動に利用で
 きないと解するべきです。



  [関連情報]
  ・取調べ
   http://www.hou-nattoku.com/mame/yougo/yougo106.php



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 法律クイズ 第338回 【問題】
───────────────────────────────────

 「メールでお金の貸借りの約束をした場合でも返してもらえる?」

  XさんはYさんに50万円を貸しましたが、なかなか返してもらえないの
 で、裁判を起こすことにしました。しかし、今回の金銭消費貸借契約には
 借用書が無く、メールのやり取りで50万円を貸借りする事を約束したも
 のでした。

  このような場合でも、裁判でXさんが勝訴する可能性はあるでしょうか。




 1. ある
 2. ない


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 性同一性障害に関する法律問題
───────────────────────────────────

  第15回「同性婚 1 ~同性カップルが不利になる場面とは?~」

  憲法24条1項は、「婚姻は両性(つまり男性と女性)が交わすもの」と考
 えています。

  性同一性障害者であっても、法律上の条件をクリアして性別を変更した
 人は、ほとんどの場合パートナーと異性になりますので、結婚が可能です
 (性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律4条)。

  しかし、性別を変更していない人や、性別変更に伴ってパートナーと同
 じ性別になった人(性同一性障害かつ同性愛の者)は、パートナーが同性
 なので結婚できません。

  最近は異性愛者でも結婚しない人が増加していることから、同性婚制度
 の必要性を理解し難いかもしれませんが、配偶者としての地位がないこと
 でさまざまな不便が生じています。
  今回は、既婚の異性カップルA・B、婚姻関係にない同性カップルP・Qを
 例に、両者の違いをみてみましょう。

 ■民間企業の夫婦向けサービスを受けられない

  いくらP・Qが夫婦同然の間柄であっても、同性である限り法律上の夫婦
 になることはできませんので、民間企業が提供している家族・夫婦向けの
 サービスは受けられません。

  たとえば、夫婦を対象にした、金融機関の「夫婦連帯債務型ローン」。

  先に示したA・Bと、P・Qはどちらも、共働きであると仮定します。
 既婚のA・Bならば、この夫婦連帯債務型ローンを利用して2人の収入を合算
 させることができますので、その合算収入に応じた額の融資を受けられま
 す。
  一方、P・Qは、夫婦連帯債務型ローンを使うことができません。
 収入を合算することができず、PもしくはQ単体の収入をもとに融資額が決
 定されますので、一般にA・Bと比べて融資額が低くなりがちです。

 ■医療機関で家族として扱われない

  カップルの片方が大きな病気や怪我をして入院・手術などの重大治療を
 受ける場合、パートナーの多くはできるだけ傍で支えたいと望むことでしょ
 う。

  通常、法律上の家族(配偶者や親・子など)には、面接や医療上の同意
 などが認められていますから、Aが病に倒れれば、Bが手術の同意書を書い
 たり、看病に行ったりとサポートができます。
  しかし、同性カップルの場合は、Pが病に苦しんでいても、Qは、家族で
 ないという理由から、病状を教えてもらったり、治療方針決定に参加した
 り、様子を見に行けるとは限りません。
  対応は各医療機関に任されており、病院によってはこうした関わりを拒
 否されることもあるのです。

 ■財産が受け取れない

  カップルの片方が死亡したとき、よく問題になるのが財産の配分です。

  既婚のA・Bであれば、Aが死亡しても遺された配偶者Bに法定相続権があ
 るため、2人で築いた財産の少なくとも2分の1はきちんとBに配分されます
 (法定相続人の人数・関係性によって配分は変わります)。

  しかし、同性のカップルの場合、Pが死亡しても、法律上の配偶者でない
 Qには法定相続権が認められません。
  この点、Pが遺言で「Qに遺贈する」と書いておけば、Qも財産を受け取る
 ことができます。
  ただし、遺言は絶対のものではなく、もしもPの親族が自分の相続分
 (「遺留分」、民法1028条以下)を主張すれば、これらの親族にも法定の
 割合で財産を配分せねばなりません。
 当然ですが、これはQの受け取る財産額にも影響を及ぼします。

  このように、実質的にA・Bと変わらぬ生活を送ってきたとしても、法の
 後ろ盾がないP・Qの関係には十分な保護がなされない現実があります。

  次回は、同性カップル保護のための世界の取り組みについて説明します。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 法律クイズ 第338回 【解答】
───────────────────────────────────

 「メールでお金の貸借りの約束をした場合でも返してもらえる?」

 □解答□
 1.ある

  このような場合、Yさんが争わない限り、メールが金銭消費貸借のあった
 ことの証拠として機能するかどうかによって、Xさんの勝敗が決まります。

  民事裁判では、書証の「成立の真正」の証明が必要となります(民事訴
 訟法228条)。この点、紙になっている書面で署名または押印があれば、
 「作成の真正」が推定されます(同条4項)。しかし、メールの場合は署
 名も押印もないので、提出者(今回はXさん)が成立の真正を証明する必要
 があります。この成立の真正の証明に成功すればXさんは勝訴する事が可能
 です。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 法、納得!どっとこむ、モバイルサイトでも情報配信中!
───────────────────────────────────

 「法、納得!どっとこむ」でおなじみの「もし裁判員に選ばれたら?」
 や「裁判員のための刑法入門」を始め、法律相談・法律クイズを携帯サイト
 で配信中!外出先や通勤途中でも「法律」が学べます。

    ⇒ 『法律Q&A』http://homu.tv/q?m=lifrml 
    ⇒  ※携帯電話からのみご利用いただけます。  
       ※3キャリア対応(DoCoMo・au・SoftBank) 



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ お知らせ
───────────────────────────────────

 ★皆様のメルマガに対するご意見をお聞かせください。
  どんな些細なことでも結構です。
  また、取り上げて欲しい話題・ご質問などもお待ちしております。
  専用フォームで簡単に送信できます  ▼Click!!
  https://www.hou-nattoku.com/opinion/

 ★メルマガの相互紹介を募集しています。
  ご希望の方は、お問合わせフォームよりご連絡下さい。
  https://www.hou-nattoku.com/opinion/



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行元:NPO法人 リーガルセキュリティ倶楽部
監 修:弁護士 密 克行、弁護士 浅井 健太、弁護士 中西 啓
───────────────────────────────────
法律相談の応募: http://www.hou-nattoku.com/ask/
登 録 ・ 解 除: http://www.hou-nattoku.com/about/magazine.php
バックナンバー: http://www.hou-nattoku.com/mailmag/
ご意見・ご感想: https://www.hou-nattoku.com/opinion/
───────────────────────────────────
関連サイト
リーガルフロンティア21: http://www.lifr21.com/
パラリーガルWEB:http://www.paralegal-web.jp/
法律事務所求人ナビ:http://www.lo-recruit.jp/
知って納得!離婚どっとこむ:http://www.nattoku-rikon.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        

 

ページトップへ