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少年法について

 前回は、14歳未満の人の行為は罰しない、という刑事未成年についてまで説明しました。では14歳未満の人が犯罪を犯したらどうなるのでしょうか?これらについて取り決めている少年法についてご紹介したいと思います。

少年法

 少年法は、原則として家庭裁判所による保護更生のための処置をとることを規定する法律です。なぜこのような原則をとるかというと、少年は一般的に可塑性(人格的に発展途上であり、柔軟に変化しうる)があると考えられているので、適切な教育や処遇によって更生が可能であると考えられているからです。
 この法律は少年の健全な育成を期待して、非行のある少年に対して性格の矯正や環境の調整に関して保護処分を行うことを目的としています。

 少年法において、審判の対象となっているのは、以下のとおりです(少年法3条)。

  1. 罪を犯した少年(犯罪少年)
  2. 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年(触法少年)
  3. 性格や環境に照らして将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年(ぐ犯少年)

ぐ犯少年にあたるとされるためには、

  1. 保護者の正当な監督に服しない性癖がある
  2. 正当な理由がなく家庭に寄りつかない
  3. 犯罪性のある人や不道徳な人と交際する、またはいかがわしい場所に出入りする
  4. 自己または他人の徳性を害する行為をする性癖がある

といった要件のいずれかに該当する必要があります。(4)の要件がよくわかりづらいですが、深夜に徘徊する行為、怠学、出会い系サイトの利用や、風俗営業への立入りなどがあたると言われています。これらの少年を併せて非行少年と呼びます。

 家庭裁判所における審判については、少年法は少年に対して性格の矯正や環境の調整を行うことを目的としていますので、「懇切を旨として、和やかに行う」ように法律で定められており(法22条1項)、また非公開となっています(法22条2項)。

 13歳までは刑事責任年齢に達していないため処罰されませんが、少年院に送致される場合もあります(法24条)。
 14歳から15歳までは家庭裁判所が「刑事処分が相当」と判断した少年を検察官に送致することができ、刑法が適用されますが、死刑は無期刑に、無期刑は20年以下の有期刑に減刑されます。
 16歳から17歳は、14歳から15歳と同様ですが、一部の重大事件を起こした場合には検察官に送致しなければならないものとされています。
 18歳から19歳は、16歳から17歳と同様ですが、成人と同じ刑罰が課されることになっています。

 いずれの年齢でも、有期の懲役や禁錮が課される場合には、「懲役3年から5年」というような幅を持った刑期(不定期刑)を定められる特則があります(法52条)。
 なお、保護観察、試験観察、児童自立支援施設や少年院送致といった家庭裁判所の決定による処分は、前科にはなりません。

 また、少年法には、審判に付された少年や、少年の時に犯した罪により裁判を受けたものについて、氏名や、年齢などその事件の本人であることを推知することが出来るような記事や写真を新聞又は出版物に掲載してはならないと定めています(法61条)。

 少年法については、これまで度重なる改正が行われてきました。今回、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法の成立を受けて、少年法の適用年齢も18歳未満にするべきだという話も出てきています。今後の動向が注目されます。

credit:Lonely boy in covered bridge via photopin (license)

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