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民法について(1)

 前回までは、刑事に関する法律について見てきました。今回は民事に関する法律にどのような定めがあるか確認していきたいと思います。

子供の法律行為について

 最近、親の知らないうちに子供が携帯端末からソーシャルゲーム内において有料アイテムを購入し、思いがけず高額な請求が来たというケースが増加し、社会問題となっています。この場合、請求どおりに支払わなくてはならないのでしょうか?

 民法では、子供(未成年者)は大人と比べて知識や判断能力の点で十分ではないと考えて、未成年者が売買など法律行為をする場合の定めを置いています。未成年者が法律行為をする場合には、親などの法定代理人の同意を得なければならず(民法5条1項)、同意がない場合には取り消すことができることになっています(法5条2項)。
 ただし、子供が自分の小遣いの範囲内で購入したような物については、取り消すことは出来ないことになっています(法5条3項)。

 上述の民法5条に従い、親の同意を得ておらず、子供の小遣いの範囲を超える、という条件を満たせば、契約を取り消すことは可能ではあります。
 しかし、実際にはそれらの条件を満たすことをゲームを提供している会社に認めさせるのは困難となっています。また、子供が年齢を偽ってゲームをプレイし、アイテムを購入していた場合には、取り消すことが出来ない場合があります(法21条)。
 したがって、民法5条が存在するからと安心はせず、親子間でのゲームに関する取り決め、携帯電話の中にクレジットカードの情報を登録したままにしない、といった予防をしておくことが大切となっています。

子供の不法行為について

 では、子供が他人を怪我させてしまった、いわゆる不法行為を行った場合はどうなるのでしょうか?

 民法では、未成年者が他人に損害を加えた場合に、自分の行為の責任を弁識するに足りる知能(これを責任能力といいます)を備えていなかったときは、その行為について賠償責任を負わないと定めています(法712条)。責任能力については、一般的に12歳程度で認められるとされていますが、11歳11ヶ月で責任能力を認められたケースがある一方で、12歳7ヶ月で責任能力が無いとされたケースもあり、画一的な基準は存在しません。
 損害を加えた子供に責任能力が認められない場合は、監督義務者である親が原則として賠償責任を負うこととなっています(法714条1項)。ただし、監督義務を怠らなかった場合や、その義務を怠らなくても損害が生じたような場合には、責任を負いません(法714条1項但し書き)。

 2015年に子供(当時11歳)が蹴ったサッカーボールによりオートバイに乗っていた男性が転倒、後に死亡した事件では、日常行為の中で起きた予想の出来ない事故については賠償責任はない、と親の賠償責任を認めない判断をし、大きな話題となりました。興味のある方は、詳細についてはこちらの記事も併せてお読みください

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