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自動車NOx・PM法(改正自動車NOx法)

「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」

 環境省は98年末に、自動車による大気汚染の防止について短期長期の目標をそれぞれ発表していました。短期は2002~2003年実施予定、長期については技術開発遅延を理由に2007年からとされていました。また規制値もEUに比較して、NOx(窒素酸化物)は厳しいものの、PM(粒子状物質)については大幅に緩いという状況でした。その後、東京都の独自条例や大気汚染訴訟判決など、状況に大きな変化があったため、前倒しで立法措置がとられたのです。

 2002年の10月1日から施行されている本法は、93年に制定された「排ガス規制法」を改定したものです。その適用範囲を広げ、規制物質に粒子状物質のPMを加えました。また、従来は商用車だけが対象だったが、乗用車(ディーゼル)も対象にされました。

 PM を加えたのは、尼崎公害訴訟などで健康被害と因果関係が認定されたため。PMを排出する重量3.5トン以下のトラック、バスとディーゼル乗用車にはガソリン車並みの厳しい排ガス規制が課され、規制対象地域では事実上、これらの車両に乗れなくなることになりました。規制を行う地域には、新たに名古屋市周辺、兵庫県南西部が加えられました。これまでの東京都や大阪府など6都府県196市区町村に数十市町村が加わりました。


 また、30台以上の自動車を使う運送業者などには、車両の運行計画や低公害車への切り替え策などを盛る自動車使用管理計画の作成が義務付けられました。


【本法の概要】

  • 削減対象物質に粒子状物質(PM)を追加
  • 法律名称を自動車NOx・PM法に変更
  • 対策地域に名古屋市周辺地域および、兵庫県南西部を追加
  • 車種規制の強化(一定の排出ガス基準を満たさない車両の車検が通らなくなる)
  • ディーゼル乗用車を規制対象に追加
  • トラック・バスの規制基準を強化
  • 事業者対策
  • 一定規模以上(30台以上を予定)の事業者に自動車使用管理計画の作成・提出を義務付け

車種規制について

 車種規制とは、対策地域で、トラック、バス等の商用車(ディーゼル車、ガソリン車、LPG車)及びディーゼル乗用車に関して特別のNOx排出基準及びPM排出基準を定め、これに適合するNOx及びPMの排出量がより少ない車を利用するための規制です。

 この規制は新車はもちろん、現在使用している車についても適用されます(ガソリン乗用車、軽自動車、二輪車、農耕作業用や建設作業用の特殊車は対象外です)。

 規制の適用については、一定の猶予期間が設けられています。

 本法に加えて、各都道府県で条例が制定されています。この条例との関係で、NOx、PM規制の理解は難しくなっています。たとえば、ディーゼル車に許される猶予期間。環境省のNOx・PM法では初度登録から10年の運行は許されますが、東京都ではこれが7年となります。つまり、NOx・PM法では今後10 年走れるクルマも、7年目からは東京だけは走れないということもあります。また、規制の救済処置として、東京都では酸化還元触媒やDPFといった東京都が指定したPM減少装置を装着することが可能となります、環境省や国土交通省ではそのような補助装置の装着に関して、現在のところ何の認可も出していないようです。

 本法や、条例により、自動車業界は大きな急激な方向転換を迫られています。今年(2003年)の10月、さらには2005年にも一段と厳しい規制が待っています。この規制にあうクルマを開発するために、自動車業界は大変なパニックの様相を呈しているようです。また、この不況の折、使えなくなる車を大量に抱えることになる運送業界にも大きな痛手となっているようです

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