トップページ > 士業の活躍と仕事 > 高橋 聡 先生 > 改正労働基準法のポイント「解雇に関する改正 その2」
高橋 聡 先生 2004年2月17日 更新
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前回は「解雇権濫用の法理」についてご説明いたしました。これは、使用者側に解雇の自由が与えられているとしても、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」解雇は解雇権を濫用したものとして無効となる、というものです(労基法第18条の2)。
では、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」場合とはいかなる場合でしょうか。
解雇権の濫用とならないためには 1. 解雇が合理的理由を有すること、2. 解雇が社会通念上相当であること、という2つの要件を満たすことが必要です。それぞれの要件について検討してみましょう。
解雇の合理的理由は次の通り分類できます。
解雇の相当性の判断は、過去の裁判では概ね、解雇が労働者にとって酷かどうか、解雇に至るまでの会社の対応は適切であったか、という観点からなされています。
例えば、勤怠不良を理由に解雇する場合でも遅刻・欠勤等の回数、当該労働者の反省の程度・改善の見込み、当該従業員の勤務成績、過去の先例の有無、会社側からの指導・注意の程度等を総合的に勘案して、解雇が労働者にとって過酷ではないかが考慮されます。
特に業務遂行能力の不足を理由として解雇する場合、その相当性の判断には困難を極めます。一般的に日本の企業では新規学卒者を大量採用して長期的に様々な職務を経験させて、社内でのキャリアアップを図り、能力を高めていくことが期待されています。したがって、一時的に人事考課の結果が平均より低いという理由のみで解雇することはできません。なぜなら人事考課の結果が平均より低いという理由のみで解雇を認めてしまうと、使用者側では毎年人事考課の結果により相当数の労働者の解雇を行うことが可能になってしまうからです。
業務遂行能力の不足を理由とする解雇は、人事考課の結果のみならず、使用者側として教育訓練、配置転換等、様々な労働者の能力向上・有効活用策を講じたにもかかわらず、なお著しく労働能力が劣り、向上の見込みがない場合に認められます。
しかし、ある地位を特定して幹部社員として採用した者(地位特定労働者)やある職種・職務を特定して採用した者(職種特定労働者)については上記の長期的キャリアアップを前提として採用した一般労働者と異なり、もともと即戦力として採用したことから、当該地位や職種を基準としてその業務遂行能力を問われます。このため、通常、使用者は解雇に先立ち配置転換等の義務を負うものと考えられていますが、これらの地位特定労働者や職種特定労働者は配置転換等を行うことなく解雇することも可能です。
過去の裁判例でもこれらの者に対する解雇は一般労働者に対するものに比べて解雇権濫用と判断される余地が狭くなっています。
ただ、いずれにしろ、解雇の相当性を立証すべき責任は使用者側にあるといえます。したがって、後々のトラブルを避けるためにも解雇に至るまでの経緯や労働者側の言動、使用者側の対応等について詳細な記録を付けておくことが必要です。
次回は使用者側の解雇事由としての整理解雇の有効要件について解説します。
集計期間: 2008年8月24日-8月30日
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