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法務会計について  2004年6月 1日 更新

第5回 契約法務会計(プリンシパル・エージェント理論その1)

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 今回は、多種ある契約法務会計技法のひとつを例示してみたいと思う。

 契約は法的理論だけではなく、経済学上の契約理論や、ゲーム理論、管理会計等を酷使し、法務会計学的なものとして捉え、設計するものである。
 新制度派経済学的アプローチによる、プロパティー・ライツ理論(所有権理論)は、『プロパティー・ライツという概念は、経済的問題と法的問題を分けて答えられない』ことを明らかにしている。所有権移転を伴なう場合がほとんどである契約は、逆にいえばプロパティー・ライツに関する問題でもあり、契約においては、経済的問題と法的問題を分離することができないということになる。
 以下で、契約設計の一助となるであろう、プリンシパル・エージェント理論について考えてみたい。

 プリンシパルとは、委任者あるいは契約設計者であり、仕事を遂行する受任者を、エージェントという。
 契約設計において重要となるのは、インセンティブ(誘因)であるが、インセンティブには、報酬や給与以外に、名誉、昇進、同僚の目等色々なものがある。しかしながら、本能に訴えかける最大のものは、やはり『金』である。従って、このインセンティブについては、『金』を中心に考えるべきであろう。

 あるフランチャイズ本部(プリンシパル)が、代理店(エージェント)報酬体系の更新を考えているということにしよう。この場合は、権利金等を払ってもらってあとは代理店独自のやり方に任すというパターンが多いと思うが、ここでは、商品仕入も本部が行ない代理店に対し、本部が、固定給及び歩合を支払い、半雇用をするという基本原則があるとする。当然ながら、地域により潜在購買力格差があるわけだが、これについては、格差に応じて、報酬に差をつけることにしたということにする。

 この場合当然ながら、プリンシパルは、各地域の潜在購買力について、正確な情報を収集すべきであるのだが、通常、各地域現場で、実務にいそしんでいる代理店すなわち、エージェントの方が、正確かつ豊富な情報を持っているわけだから、情報については、エージェントからプリンシパルに提供してもらうという形を取る必要性がある。

 しかしながら、エージェントは、みすみす、自分が不利になるような、情報提供をプリンシパルにすることはない。例えば、潜在購買力の低い地域には、固定給を多くするというような報酬体系の場合、安定的な固定収入が諸事情で必要なエージェントは、例え潜在購買力が高くても低いという報告を行なうからである。

 このような場合、ウソの報告を行なった場合は、厳罰に処すというインセンティブ(不連続なインセンティブという)を設ける方法もあるだが、そのためには、プリンシパル側に、過大なコストが生じることとなる。

 なぜならば、正確な各地域の潜在購買能力を、プリンシパルが知ることができなければ、エージェントのウソがわからないわけだから、正確な調査をしなければならない。となると、何のためにフランチャイズ制にしているのかわからなくなる。このようなジレンマの下、どう契約体系を設計すればよいか?

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