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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第291号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□


2006年 8月22日                         第291号
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 発行部数: 25,141部(まぐまぐ 17,349部、melma! 7,792部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第281回
    「家を出て行けという親、それを拒否することはできる?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/523.php

  □ 法、納得!どっとこむ 新着情報

  □ 皆で考えよう、法の建前と現実 第20回
    「日本の総理大臣が靖国神社に参拝することをどう思いますか」
  http://www.hou-nattoku.com/enq/archive/20_yasukuni_worship.php

  □ 離婚法律コラム「離婚の前に決めること」 第18回
    「子との面接交渉 (2)」
    http://www.hou-nattoku.com/special/rikon/18.php

  □ なっとく! ランキング

  □ お知らせ

  □ 編集後記 「働くということ」



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■ なっとく!法律相談 第280回
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 「家を出て行けという親、それを拒否することはできる?」


 □相談□

  先日、父親が「お前とは親子の縁を切る。大学の費用も払わん。今月末
 までに出て行け。」と言ってきました。

  理由を聞くと、

 1・ハサミやカッターを勝手に使った
 2・それらをすぐに返さなかった
 3・母親に「死ね」と暴言を吐いた
 4・母親が作った料理を食べないことが度々あった
 5・行動が勝手である

 などでした。

  1・2・3・4は事実です。しかし、5については違うと私は思っています。
  私は、国立大学を目指して浪人中の学生です。現役受験のとき、ある私
 立大学を受けると決めたものの、本当にその大学に行きたいのか自信が持
 てず、一年間浪人して受験勉強を続けながら、大学を選びなおすことにし
 たのです。このことは親に相談しませんでした。

  確かに自分勝手な行動だったとは思いますが、1~4も含め、これらのこ
 とは、家を出て行かなければならない理由としては不十分だと私は思いま
 す。

  法律上私は家を出て行かなければならないのでしょうか。
                            (10代:男性)


 □回答□

  法律上、親子の同居義務を直接定めた規定はありません。

  しかし、親は未成年の子を扶養する義務がありますし(民法877条)、自
 宅に同居させて監護・教育に努め(820条)なければなりません。

  また、親は子を自らが指定した場所に居住させることができる(821条)
 という強い権利さえ有するのですから、もし別居するなら、居所を決定し、
 その費用を負担する義務があると考えられます。

  また、子どもがどんなに自分勝手であろうとも、鍵をかけて締め出す、
 実力で追い出すなどということは、許されることではありません。
  しかし、お父さんが「大学進学の費用を払わない」と主張する点につい
 ては、一義的に出費を強制する法的根拠はありません。

  現在の日本では中学校までが義務教育と定められているため、高等学校
 以上への進学は、その家庭の現実的諸事情が許す限りで、家族の協力の下
 にできることでしかありません。

  したがって、ご両親が「息子の進学費用を負担しない」と決めた場合に、
 あなたがそれを法律的に強制する方法はありません。

  一言述べさせていただくと、お父さんが立腹されているのは、自分の意
 思だけで進学先を決定して憚らないという、あなたの考え方そのものなの
 ではないでしょうか。
  自分の納得のいく大学に進学するため努力することは、立派な行動です。
 しかし、たとえ意に染まない進学先であっても、あなたはご家族の扶助と
 協力があってはじめて、入試を受け、通学が続けられるのです。

  詳しい事情はわかりませんが、ご家族の心配を考えれば、進学先を変更
 するような重要な決定をする場合には、事前に家族に相談し、理解を求め
 る努力をするべきだったと思います。

  家族が作ってくれた食事に手をつけず、暴言を吐くという態度は、家族
 であるがゆえに民事責任を問われることがなく、侮辱罪・名誉毀損罪等の
 刑事責任の問題になることもありません。お母さんだから、あなたを訴え
 ないのです。相手が他人であれば、あなたの行為はただではすまない場合
 もあるのです。 

  自分のした行為は棚に上げ、他人の行為だけを法律の助力によって排除
 しようとするのは、偏った態度だと思います。あなたには、家族の大切さ
 について、法律の役割について、もう少し考えてみてほしいと思います。



 [関連情報]
  ・法的に親子の縁を切ることはできる?
   http://www.hou-nattoku.com/consult/71.php

  ・兄弟(家族)の縁は切れるのか?
   http://www.hou-nattoku.com/consult/90.php



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■ 法、納得!どっとこむ 新着情報 ( 06/08/08 ~ 06/08/22 )
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  前号から今号までの間にホームページ「法、納得!どっとこむ」
 に新しく掲載された記事をご紹介します。

  8月21日 上司に強要されて参加した野球賭博、罪に問われる?
      http://www.hou-nattoku.com/consult/522.php



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■ 皆で考えよう、法の建前と現実
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  第20回:日本の総理大臣が靖国神社に参拝することをどう思いますか
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  今週もアンケートの途中経過といただいたご意見の中からいくつかピッ
 クアップしてお送りします。


 ▼アンケートの途中経過(投票総数: 4459票)


 設問:日本の総理大臣が靖国神社に参拝することをどう思いますか

  賛成  ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| 4044票 (91%)
  
  反対  ||||| 415票 (9%)

                       (8月22日 9時50分現在)


 ▼いただいたご意見(読みやすいように一部編集しています)

 【賛成】

 ・そもそもね、小泉さんの言う「過去の反省」ってのは中韓の求めるもの
  とはニュアンスが違っているってのを理解すべきですよ。

  彼等の言う「反省」ってのは、おそらく「侵略」に対する反省なんだろ
  うけど、我が国のトップがね、8月15日という終戦記念日に「反省」
  と言やぁ、そりゃ「何百万人の日本人が国策によって命を落とした」こ
  とに対する反省でしょう。
  なんらかの因果関係はあるだろうけど、侵略云々ってのは、とりあえず
  ここでは別の話なのさ。

  で、その反省をこめて改めて不戦の誓いをしたい。
  じゃあ、何処が適当なのかな、ってときに、戦時中亡くなった方々(し
  かも当時の政府の命令でね)の多くが眠る靖国を選ぶのは自然な発想だ
  と思うけどな。

  A級戦犯が合祀されていてどうのこうの、ってのは靖国参拝の趣旨とは全
  く関係ないでしょ。そんなんで軍国主義の復活なんぞに繋がるわけない
  でしょに。


 【反対】

 ・賛成派の一部の方々に露骨な中国、韓国に対する差別的な反発があるの
  に憂慮せざるをえません。
  
  ここで議論すべき点は、総理大臣が宗教法人靖国神社に公人として参拝
  することが是か非かであるはずなのに、逸脱した批判が展開されていま
  す。
  
  法律を考えるサイトでこういった議論に席巻される状況自体異常な感じ
  がします。さらに靖国神社は、国内の多くの新興宗教と同じく明治時代
  以降のものであり、日本の伝統云々という次元で考えると、天理、金光、
  その他も、日本古来の伝統といっておかしくないことになってしまいま
  す。
  無知や情報の偏りの問題は、中国、韓国の市民も抱えている問題ですが、
  日本人も現状とてもまともとはいえません。靖国神社は、戦争を反省す
  る施設でもないし、戦争で非業の死を遂げた人たちを弔う施設でもあり
  ません。
  日本古来の考えでいくと、戦没者を弔うのならお寺のほうがふさわしい
  と思います。神社はもともと神の居場所であって、一般の死者を祭ると
  ころではないことは、賛成派の方々だって常識として知っていられると
  思います。
  東京の神社に無理やり魂を封じ込め、死んでも上下関係を強いられ、里
  帰りも出来ない不幸な霊魂を数百万も生み出した靖国神社は、とんでも
  ない存在ですよ。
  
  仮に会社ごとに神社を作って死んだら祭られるとします。死んでからも、
  上下関係を押し付けられ、家族やから切り離されるとしたら喜んで入り
  ますか。



  今回は2名の方の意見を掲載させていただきました。
  この他にも多くのご意見をいただいています。刻々と変化するアンケー
  ト結果やその他のご意見を読みたい方は、

  http://www.hou-nattoku.com/enq/view_opinion.php

 にアクセスしてみてください。引き続き、ご意見お待ちしております。
 
 >> http://www.hou-nattoku.com/enq/



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■ 離婚法律コラム「離婚の前に決めること」 第18回(全18回)
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 「子との面接交渉 (1)」

  前回は、面接交渉の制度について簡単にご説明しました。今回は、面接
 交渉にあたっての、注意すべき点についてご紹介します。

 注意すべき点は、以下のものが考えられます。


 1.子の気持ちを聞く。

  夫婦間の問題であるとして、子の意向をまったく聞こうとしない場合が
 ありますが、特に10歳程度になっている場合は、本人の意向を重視するよ
 うにして下さい。


 2.面接交渉の回数が多くならないようにする。

  面接交渉の回数が多いと、お互いの都合で先延ばしになることになり、
 結局は約束があって無い様なものになってしまう可能性が高くなります。
 2週間や月に1回程度で、「そのつど協議して日程を決める」とすることが
 一般的です。


 3.取り決めが細かくならないようにする。

  会う日付や時間を細かく特定する場合も、(2)と同様になる可能性があ
 ります。


 4.まったく会わせないことは避ける。

  子どもの権利条約でも定められている通り、大人の事情で子どもが親に
 会えないことは、子の福祉のため、出来る限り避けるべきと考えられます。


 5.親権者に内緒で会わない。

  親権者に内緒で子に会う場合、子も会いたがっている可能性は高く、喜
 ぶと思われます。しかし、それを親権者に伝えてはならないと口封じされ
 ることから、子の性格によっては、精神的負担が大きくなり、事件に繋が
 ることもあります。

  今回で、5つのポイントの解説はすべて終わりです。

  多くの方に知って頂くため、正確さにこだわらず、強引に短くまとめま
 した。
  しかし、実務家のコラムとして、一般向けの書籍には無い情報を記載し
 たつもりです。

 最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございます。平成18年3月吉日


         執筆: 行政書士 夛治川 満之
             http://tajikawa.infoseek.ne.jp/
         ※ このコラムの内容で損害が生じても責任を負いません
         ※ このコラムは平成18年3月に執筆されたものです。



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■ なっとく!ランキング ( 06/08/13 ~ 06/08/19 )
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 第1位 国家公務員がオークションに出品する行為は違法?
     http://www.hou-nattoku.com/consult/515.php

 第2位 公務員の懲戒処分
     http://www.hou-nattoku.com/mame/yougo/yougo61.php

 第3位 不倫の暴露を理由に交際の継続を要求するのは脅迫か?!
     http://www.hou-nattoku.com/consult/521.php

 第4位 うっかりして運転免許証を紛失!
     http://www.hou-nattoku.com/car/menkyo.php

 第5位 NHKの受信料問題
     http://www.hou-nattoku.com/enq/archive/01_nhk.php



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■ 編集後記 「働くということ」
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 この文章を読んでくださっている方のうち、どれくらいの人が、毎日を働
 くことで過ごしておられるのだろうか?

 ほんのふた昔ほど前まで、そこそこの年齢になれば、働くか、主婦となっ
 て家を守り、働く人を助けるか、どちらかだった。
 それをしない人は、資産家で働く必要がないか(ただし、そんな人にも
 「社交」や「財産管理」という厄介な「仕事」が待っている)、そうで
 なければ、身体でも悪くて働けないのだろう、と思われた。

 20歳そこそこから一生働いて過ごすことに、人は格別の疑問も持たなかっ
 たが、では惰性で働いていたのかというと、そうでもなかったのだ。
 仕事を休んだり、辞めたり、転職したりということは、それなりの覚悟が
 いることだった。

 働いている人を助けるためには家中でバックアップしたし、また、働いて
 いる人には家族のそれなりの期待や思い入れのようなものが掛かっていた
 から、どんな事情があろうとも、「まずは働くことが優先される」という
 不文律のようなものがあったのではないだろうか。

 うちの親父はぐうたら者だったが、やはり働かなければならない、という
 義務感だけは、それでも持っていたように思う。

 今、若い人は実に簡単に職を手放そうとする。
 まるで、将来に別の職場が保証されてでもいるかのように。

 しかし、そうではない。
 同じ人、同じ出会いがある職場というものは絶対になくて、ただ同種の報
 酬が、同程度の条件で提供される職場であるにすぎないのだ。

 -それさえも、実は不確実なのだが。

                              (ありま)



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発行元:NPO法人 リーガルセキュリティ倶楽部
監 修:弁護士 密 克行、弁護士 浅井 健太、弁護士 中西 啓
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法律相談の応募: http://www.hou-nattoku.com/ask/
登 録 ・ 解 除: http://www.hou-nattoku.com/magazine.php
バックナンバー: http://www.hou-nattoku.com/mailmag/
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その他お問合せ: staff@hou-nattoku.com(メール)
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