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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第531号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2010年 5月10日                        第531号
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 発行部数: 20,520部(まぐまぐ 15,007部、melma! 5,513部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第519回
    「子供が20歳を超えても養育費を支払うべき?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/923.php

  □ 法律クイズ 第205回 【問題】
    「最高裁判所裁判官になれる人、なれない人」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0403.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第十九回 「管理・監督過失」

  □ 法律用語 「参政権」

  □ 法律クイズ 第205回 【解答】



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■ なっとく!法律相談 第519回
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 「子供が20歳を超えても養育費を支払うべき?」

 □相談□

  大学進学などで授業料がかかるとのことで、子どもが20歳以後も養育費
 を要求されました。支払わないと法に訴えると言われました。義務はある
 のでしょうか?ほっといていいものでしょうか?

                           (50代:男性)


 □回答□

  法律上の規定はないので当事者間の話し合いによります。家庭裁判所の
 調停では、父母の経済的資力や学歴、社会的地位などにより、支払うべき
 と判断されることもあります。

  親の子に対する扶養義務(民法877条)は、両親が離婚してもなんら影響
 を受けません。この扶養義務に基づいて、親から子供に渡されるお金のこ
 とを、養育費といいます。

  養育費を子供が何歳になるまで支払うべきかについては、法律上の規定
 はありません。当事者間の話し合いにより決めることになります。
  一般的には、成人である20歳まで支払う例が多いようです。ただ、親族
 間の扶養義務を根拠としている以上、子供が未成年でも、社会人として経
 済的に自立しており、扶養を受ける必要がない場合には、養育費を支払う
 必要はないでしょう。
  逆に、子供が成人していても、身体的・精神的に未熟であって、経済的
 に自立しておらず、扶養を受ける必要がある場合は、養育費を支払うべき
 と判断される場合があります。
  最近では大学の進学率も高くなってきているので、大学を卒業するまで
 養育費を支払うと約束する場合も多くなってきているようです。

  なお、当事者間の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を
 利用しましょう。
  その際、養育費の支払期間は、父母の経済的資力や学力、社会的地位、
 生活環境なども総合的に考慮して決められます。
  ご相談の場合も、これらの個別的な事情によっては、養育費を支払うべ
 きと判断される場合もあるでしょう。


  [関連情報]
  ・養育費の支払い、再婚した元夫は減額請求できる?
   http://www.hou-nattoku.com/quiz/0211.php



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■ 法律クイズ 第205回 【問題】
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 「最高裁判所裁判官になれる人、なれない人」

  以下のうち、法律上、最高裁判所の裁判官になれない人物は、どれで
 しょうか?

 1. 69歳の弁護士
 2. 39歳の高等裁判所の裁判官


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第十九回 「管理・監督過失」
    ~大洋デパート火災事件・最高裁平成3年11月14日第1小法廷判決~

  ホテルやデパートなどの施設火災や、工場災害などで死傷者が出た場合、
 責任を問われるのは、直接の原因をつくった現場の従業員だけではありま
 せん。結果防止が可能で、その役割を担うべき立場にあれば、管理・監督
 を怠った事実の悪質さに応じて注意義務があったと認められ、業務上過失
 致死傷罪という形で、その上司の監督責任や経営者の管理責任が問われる
 ことがあります。これを管理・監督過失といいます。
  今回の事件では、取締役という地位にある者が、権限外の事項に関して
 も管理・監督過失を負うべきかが問題となりました。

  場所は熊本市の大洋デパート。
  営業時間中、2階から3階への上がり口付近で原因不明の火災が発生しま
 した。
  火災は同階段から3階店内に侵入し、午後9時過ぎに鎮火するまで、8階に
 至る各階に燃え広がって、それらの階をほぼ全焼する大火災に発展しまし
 た。
  この背景には、消防当局からの再三の指摘にもかかわらず、防火管理の
 基本となる消防計画を作成せず、非常避難階段や非常警報設備、非難器具
 を設置していない同デパートの不手際がありました。さらに消防訓練もし
 ていなかったために、火災時、従業員らは火災の通報をせず、避難誘導も
 ほとんど行わなかったため、逃げ場を失った従業員、客など104名が死亡し、
 67名が負傷しました。
  当時、同デパートには防火管理者がいましたが、彼は実際上何の権限も
 ない営繕部の課員でした。その上司である取締役人事部長Xにも、防火管理
 業務の執行権限はありませんでしたが、管理・監督過失を問われ、業務上
 過失致死傷罪で訴追されました。
  原審での福岡高裁は、Xが取締役という地位にあったこと、社内の防火管
 理につき関心をもって助言や指導をしていたことなどから、Xに管理・監督
 過失を認め、業務上過失致死傷罪を成立させました。取締役会を通じてで
 も直接でも、代表取締役に進言すべき注意義務があったと判断したのです。
  これに対し、弁護側はXにこうした注意義務も過失も存在しないと主張
 し、上告しました。
  最高裁は原審を破棄し、Xを無罪としました。そして、取締役に求められ
 る注意義務の範囲を以下のように示しています。
  まず、会社の建物について防火管理上の責任を負うのは、一般に取締役
 会ではなく、代表取締役であると考えました。したがって、たとえ取締役
 が取締役会で防火管理についての問題点を指摘し、必要な措置を採るべく
 決議を促さなかったとしても、そのことでただちに「取締役が防火管理上
 の注意義務を怠った」とは言えないとしました。
  そして、取締役としては、取締役会において代表取締役を選任し、これ
 に適正な防火管理業務を執行することができる権限を与えた以上、代表取
 締役にこうした業務の遂行を期待できないといった特別の事情がないかぎ
 り、代表取締役の不適正な業務執行から生じた死傷の結果について過失責
 任を問われることはないと判断しました。
  そのうえで、原判決が判示したXの役職、言動などの事情を考慮しても、
 自ら防火管理上の注意義務を負っていなかった同人に、代表取締役に対し
 進言すべき注意義務があったとは認められず、したがって、管理・監督過
 失も存在しないとしました。



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■ 法律用語
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 法律用語 「参政権」


  政府の政策に関連して、今盛んに話題に上っている参政権。
  議論の中心は外国人参政権についてのようですが、これを考える基礎と
 して、そもそも参政権とはどのようなものかを見てみることにしましょう。

  参政権とは、人が生まれながらに持っている基本的人権の一つで、国民
 が政治に参加する権利をいいます。選挙権、被選挙権等がこれにあたりま
 すが、最も代表的で、最低限のものとされているのが選挙権であり、国民
 固有の権利と規定されています(憲法15条)。

  選挙権には5つの特徴があります。
  すなわち、選挙権を性別や教育、特に財力と切り離して考える「普通選
 挙」、数的にも価値的にも、1人1票を守る「平等選挙」、権利なのだから
 棄権しても何ら制裁を受けないという「自由選挙」、誰が誰に投票したか
 を明かさない「秘密選挙」、選挙人が直接に公務員(国会議員等)を選ぶ
 「直接選挙」です。
  こうした特徴は、戦前の、財力・性別等に偏った不平等な選挙制度の反
 省に立脚しています。国民が国のあり方を最終的に決定する民主主義の達
 成には、単に選挙という形式面が整っているだけでなく、平等な選挙で選
 出された代表者が議論し、決定するという実質面も伴っている必要があり
 ます。
  現在の選挙権は、国民の総意という正当性を確保し、民主主義を実現す
 るため、どのような形態で代表者を選出するべきか、工夫を凝らした結果
 なのです。

  被選挙権も、この選挙権と表裏一体の権利として認められているもので、
 根拠となる概念は、基本的に選挙権と同じです。参政権を貫いているのは、
 このような民主主義の概念なのです。

  以上のような事情から、外国人参政権を考える際に、「民主主義を担う
 べき国民とは誰か、そこに外国人を含むべきか」という視点が出てきます。
  国を動かす根幹の権利として、どのような運用が適切か。あなたはどう
 お考えになりますか?



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■ 法律クイズ 第205回 【解答】
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 「最高裁判所裁判官になれる人、なれない人」

 □解答□

 2. 39歳の高等裁判所の裁判官

  最高裁判所の裁判官は、裁判官や検察官など、法曹資格を持つ者だけで
 構成されるわけではありません。
  様々な立場にある法律専門家の見解を反映できるように、「識見の高い、
 法律の素養のある年齢40年以上の者」の中から選出されるのです(裁判所法
 41条1項)。
  ただ、最高裁判所裁判官15名のうち少なくとも10名は、10年以上裁判官
 をしていた者か、20年以上検察官や弁護士、法律学の教授などをしていた
 者で構成される必要があります。また、最高裁判所の裁判官の定年は70歳
 です(憲法79条5項、裁判所法50条)。

  本問題では、(1)69歳の弁護士は、まだ定年である70歳に達していない
 ので、法律上最高裁判所裁判官に選出されることができます。
  しかし、39歳の高等裁判所の裁判官は、40歳に達していないので、最高
 裁判所裁判官に選出されることはできません。



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