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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第578号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2011年 5月23日                        第578号
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 発行部数: 20,263部(まぐまぐ 14,772部、melma! 5,491部)
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■ 目 次
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  □ 隔週連載:世界の離婚 第1回
    「中国編」

  □ なっとく! 法律相談 第566回
    「計画停電で仕事にならない!給与はどうなる??」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1027.php

  □ 法律クイズ 第252回 【問題】
    「弁護士会から自社社員の情報提供を求められたらどうすればよい?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0511.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第六十六回 「意識の深層における殺意と故意」

  □ 法律用語 「貞操義務」

  □ 法律クイズ 第252回 【解答】


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■ 隔週連載:世界の離婚 第1回
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 「中国編」

  今回から新しい連載として「世界の離婚」をお送りします。結婚や離婚
 はその国の文化や宗教観が法制度に色濃く反映されており、まったく同じ
 制度というものが2つとないような状況です。この連載では、離婚に重点
 を置きつつ、各国の結婚・離婚の制度を紹介していきたいと思います。
  
  第1回目は人口世界1位の国、中国編です(以下は、2001年の婚姻法に基
 づきます)。


 ◯婚姻
  
  中国においては、男性は満22歳、女性は満20歳から結婚できるとされて
 いますが、人口増加を抑制する目的から、結婚と出産はできるだけ遅らせ
 るように勧奨されています(6条)。ただし、少数民族については、婚姻
 年齢の引下げを認めています(50条)。
  近親婚については、4親等以内の傍系血族との婚姻が禁止されているた
 め、日本では認められている従兄弟との婚姻はできないことになります。
  
  婚姻をしようとする男女は、婚姻登記機関に自ら出頭して婚姻登記をし
 ます。婚姻登記をすると、「結婚証」がもらえます。これで手続完了です。
 
 ◯離婚

  離婚については、A.協議離婚、B.調停離婚、C.裁判離婚の3つの方法が
 認められています。
  A.協議離婚の場合は、双方が婚姻登記機関に出頭して離婚を申請する方
 法で行われ、双方が自由意思に基づいていること、かつ、子及び財産の問
 題を適切に処理していることが明確となった場合に初めて「離婚証」(独
 身証明書)が発給されます(31条)。
  
  B.調停離婚については、C.裁判離婚に先立って行うべきとされており、
 日本と同様の調停前置主義が採られています。法定の離婚原因としては、
  
 (1) 重婚または配偶者を有する者が他人と同棲している場合
 (2) 家庭内暴力または家族構成員を虐待・遺棄した場合
 (3) 賭博・麻薬吸引などの悪習があり、度々教育しても改めない場合
 (4) 感情の不和により満2年別居している場合
 (5) その他夫婦間に感情の破綻が生じている場合
  
 が挙げられています(32条)。
  
  なお、妻が懐胎している期間および分娩後1年内または妊娠中止後6カ月
 以内は、夫からの離婚の提起はできないとされています。逆に妻からの離
 婚は、上記期間であっても認められています(34条)。妻は離婚後6カ月
 間は再婚できないとする日本と異なり、離婚のほうを制限する形になって
 います。
  
  離婚後の子どもとの関係については、父母と子の関係は、父母の離婚に
 より消滅することはないとされ、父母は子に対し扶養および教育の権利と
 義務があると規定し、いわゆる共同親権を認めています(36条)。
  
  次回はインド編をお送りします。



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■ なっとく!法律相談 第566回
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 「計画停電で仕事にならない!給与はどうなる??」

 □相談□

  営業所の事務系管理職をしています。

  東北地方の震災に伴い、クライアントから「営業活動の自粛」を依頼さ
 れており、経営的には大変厳しい状況です。
 
  また、東電の計画停電中は、事務機器も電話も使えないので仕事になり
 ません。
 
  停電中に部下を帰宅させたときには、賃金は満額支払わなければならな
 いのでしょうか?

  暗闇のなかで事実上やることがない状態です。

                           (30代:男性)


 □回答□

  原則として、地震等(自身に起因する計画停電も含む)により、事務機
 器も電話も使えず事実上操業停止になるなどやむを得ない事由がある場合
 には、一時帰休を命じても使用者の労務受領遅滞にはあたらず、使用者に
 帰責事由のない労務提供義務の履行不能の場合として、労働者は賃金請求
 権を有しないこととなるので(民法536条)、使用者は給料を支払う義務
 を負いません。

  もっとも、この場合の一時帰休も合理性のあるものでなければなりませ
 ん。

  そして、合理性の有無は,具体的には,帰休制実施によって労働者が被
 る不利益の程度,使用者側の帰休制実施の必要性の内容・程度,労働組合
 等との交渉の経緯,他の労働組合または他の従業員の対応等を総合考慮し
 て判断すべきとされています(横浜地裁平成12年12月14日判決)。

  そして、本件のように東日本大震災に起因する計画停電が原因での一時
 帰休は、合理性があると判断される可能性が高いと考えられます。

  したがって、本件の一時帰休においては民法上賃金支払い義務を負わな
 いと言えるでしょう。

  また、労基法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に
 おいては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の
 60以上の手当を支払わなければならない。」と規定しています。

  もっとも、厚労省は「計画停電の時間帯における事業場に電力が供給さ
 れないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の
 責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと」という見解を採用し
 ています。

 (厚労省HP「計画停電が実施される場合の労働基準法第26条の取扱いにつ
 いて」を参照してください
 )

  したがって、本件では労基法上も賃金の支払い義務は無いといえます。

  以上より、原則として、本件一時帰休においては従業員に当該帰休期間
 の賃金を支払う必要はないと言えます。

  もっとも、任意で給与を支払い、国から雇用調整一時金を受け取るとい
 うこともできます。

  つまり、東日本大震災によって休業等を実施し、休業に係る手当等を労
 働者に支払った事業主に対しては雇用調整助成金(労働者に支払った手当
 の80%~90%、1人1日7,505円が上限)が支給されます。

  そしてこの雇用調整助成金は、計画停電による休業もその対象とされて
 います。

 雇用調整助成金に関して詳しくは厚生労働省のHPを参照してください。
 


  [関連情報]
  ・原料不足により工場一時閉鎖!給料はどうなる?
   http://www.hou-nattoku.com/quiz/0215.php	



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■ 法律クイズ 第252回 【問題】
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 「弁護士会から自社社員の情報提供を求められたらどうすればよい?」

  Aさんの経営するX社に、弁護士法第23条の2に基づき、社員Bの情報につ
 いて弁護士会から照会がありました。
  X社(Aさん)は、社員Bの同意を得ずに弁護士会に当該社員情報を提供
 してもよいでしょうか?

 1. 社員Bの同意なく提供してもよい
 2. 社員Bの同意を得ればよい
 3. 同意があっても社員に関する情報は一切提供してはいけない


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第六十六回 「意識の深層における殺意と故意」
        ~高松高裁昭和31年10月16日判決~

  刑法では、わざと、つまり「故意」で行った行為でなければ基本的に罰
 されません(38条)。
  たとえば、怪我をさせるつもりで死なせてしまった場合、傷害の故意は
 あっても殺人の故意はないため、殺人罪(同199条)ではなく傷害致死罪
 (同205条)になるのです。
  
  このように、故意が認められるかは、犯人がどんな結果を発生させよう
 としたかが大きく影響します。
  今回の事案では、殺人という結果発生を明確に認識していなかった犯人
 に対し、故意を成立させられるかが争われました。
  
  被告人Xは、以前Aに殴打されたことを根にもっており、次にAを見つけ
 た場合には巡査に訴えて懲らしめてやろうと考えていました。
  ある日、Aが飲食店Pに来ていることを知ったXは、巡査を呼びに行くよ
 う妻に指示しました。
  ところが、既に約6合の清酒を飲んでいたXはその返事が待ちきれず、A
 に対する恨みを晴らすため刃渡り15、6cmの包丁をタオルに包んで懐にし
 まい、Pに乗り込みます。
  Aを戸外へ連れ出して対峙し、興奮したXは、持ってきた包丁でAの腹の
 真中辺を突き刺して失血死させました。
  
  1審はXに殺人の故意を認めて殺人罪を成立させましたが、弁護側は故意
 なしとして控訴しました。
  
  高松高裁は控訴を棄却。
  
  まず、殺人罪の故意(殺意)を認めるにあたっては、必ずしも殺意が犯
 人の意識の表面に明確に表れている必要はないと示しました。
  したがって、意識の表面に現れていなくとも、意識の深層に殺意があり、
 犯行時夢中で人体の重要部分に重大な傷害を与えたような場合は、「殺人
 罪の故意あり」というべきケースもあるとしました。
  すなわち、激情にかられて我を忘れ、日本刀で人の首を狙って切りつけ
 たり、刺身包丁を胸板めがけて突き刺したりして死なせてしまった場合に
 は、その犯人が犯行を終えた瞬間平静に返り、「こんなはずではなかった、
 殺す意思はなかった」と事実反省したとしても、犯人に精神上の欠陥がな
 かった以上、それは意識の表面の問題に過ぎないのであって、意識の深層
 にある殺意をもって殺人罪の故意を認めるほかないというのです。
  
  以上の考えから、本件Xは恨みを晴らす目的で(意識の深層にある殺意
 をもって)Aの臍辺りという重要部分を包丁で深く突き刺し、大刺創を与
 えて死亡させたのであって、殺人罪が成立すると結論付けました。



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■ 法律用語
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 法律用語 「貞操義務」


  夫婦間の法律相談などを見ていると、よく「貞操義務」ということばが
 出てきますね。
  貞操義務とは、夫婦が互いに性的純潔を保つ義務のことで、守操義務、
 誠実義務とも呼ばれています。
  
  日本の婚姻制度は一夫一婦制をとっていますし、その実質は「性的に結
 合することによる人格的な共同生活関係」だと位置づけられているため、
 夫婦は互いに配偶者以外の者と性交渉をもつべきではないというわけです。
  
  かつては、この貞操義務に反した場合、離婚原因となる(旧民法813条2
 号)ばかりか姦通罪にも問われ(旧刑法183条)、重い処分がなされてい
 ました。
  しかしこれは妻のみの話で、夫の不貞行為は離婚原因にも姦通罪にもな
 らなかったのです。今では考えられない不平等ですね。
  
  現行法には貞操義務についての明文規定がありませんが、配偶者の不貞
 行為を離婚原因としていること(民法770条1項1号)や、重婚を禁止して
 いること(同732条、刑法184条)などから、現在もやはり貞操義務は法律
 上の義務と考えられており、もちろん夫と妻の両方に課されています(夫
 婦の本質的平等、民法2条、憲法24条)。
  また、これに反すると、上述のとおり離婚原因となりますし(民法770条
 1項1号)、貞操権侵害に基づく不法行為として損害賠償責任の原因にもな
 ります(同710条)。
  
 損害賠償を求めるにあたっては、たとえば夫が不貞行為をした場合、主に

 (1)妻→不貞の夫
 (2)妻→夫の不倫相手
 (3)子→夫の不倫相手
  
 の3パターンが考えられます。
 損害賠償責任があるか、慰謝料額はいくらかといった問題は、不貞行為に
 至る事情や当事者の積極性、婚姻関係破綻の程度など、さまざまな要因か
 ら総合判断されます。
  過去の事例から判断するに、(1)(2)は比較的認められやすい傾向に
 ありますが、(3)の場合は不倫相手に害意がない限り認められないとい
 う判例が出ています(最高裁昭和54年3月30日判決)。
  
  第三者との性交渉が許されないのなら、夫婦間には性交渉を求める権利
 やそれに応ずる義務があるのでしょうか?
  従来は「権利・義務あり」と考えるのが主流でしたが、夫婦間レイプ事
 件(広島高裁昭和62年6月18日判決)などをきっかけにそのあり方が考え
 直されています。
  デリケートな問題なので一概に結論付けることは難しいですが、「あり」
 とするならばその根底に相手のことを尊敬し、尊重する精神を求めること
 は必要であろうかと思います。



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■ 法律クイズ 第252回 【解答】
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 「弁護士会から自社社員の情報提供を求められたらどうすればよい?」

 □解答□

 1. 社員Bの同意なく提供してもよい

  個人情報保護法23条1項は、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合
 を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提
 供してはならない。」と規定しています。
   
  また、「次に掲げる場合」として同1号は「法令に基づく場合」を挙げ
 ています。
   
  そして、本問の弁護士法第23条の2に基づく弁護士会からの照会に対す
 る回答は、「法令に基づく場合」(個人情報保護法23条1項1号)に該当し
 ます。
   
  したがって、照会に応じて提供する際に本人の同意を得る必要はありま
 せん。
   
  なお、弁護士法第23条の2に基づく弁護士会からの照会は、強制力を伴
 わないものの、一般に回答する義務があると解されており(広島高等裁判
 所岡山支部平成12年5月25日判決、大阪高等裁判所平成19年1月30日判決な
 ど)、同照会制度の目的に即した必要性と合理性が認められる限り、一般
 に回答をすべきであると考えられます。
   
  弁護士法第23条の2に基づく弁護士会からの照会に関しましては、以下
 の日弁連のホームページを参照してください。
   
 ・日弁連ホームページ内「弁護士会から照会を受けた皆さまへ」
  http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/list/shokai_qa.html#q06



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